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会長ルーム・活動録

新年のご挨拶(2016年1月掲載)

2016.01.01

 明けましておめでとうございます。
 同窓会会員の皆様におかれましては、ご家族共々すばらしい新年をお迎えのことと存じます。
 今年も16期から25期までの有志によって運営されている同窓会本部のスタッフとともに、各支部、各期生会、防衛大学校等と連携しつつより一層の同窓会の発展に取り組んでまいります。皆様のご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。
 さて、今年度のホームカミングデーには、第16期生が國分学校長から第59期生の卒業式に招待いただき、同窓生そしてその家族等の総勢約350名が参加しました。そして学校長からの温かいお言葉と学校側の心温まるおもてなしを受けました。ほとんどの同窓生が何十年ぶりに母校を訪れその変化に驚き、そして現役学生に当時の自分を重ね見ている様子は、多感な青年時代に起居を共にした母校に対する誇りや懐かしさ、そしてありがたさをしみじみ感じる時間でもありました。また、11月に行われた開校記念祭にはご家族とともに卒業後20年を迎えた多くの第39期生がホームビジットに参加しました。現在、彼らの殆どは自衛隊の中核として司令部や部隊等で活躍しており、学校長と共に参加した激励の場で彼らの自信と意欲と逞しさを感じることができました。さらに今後の母校と同窓生との関係でいえば、学校長の御発意で、来年4月の入校式から新たな取り組みとして、ホームカミングデー2として、入校後60年を経た同窓生を招待いただくことになりました(本年4月の入校式は、最初の取り組みですので第1~4期生が対象となり、来年からは第5期生から順次各期の番となります)。 
 このような連綿とした約60年の防大の歴史や伝統の背景には、時代と共に変化してきた安全保障環境があります。平成の時代から始まる「ポスト冷戦」では、テロとの戦いや国家再建を含む平和の創出等のために各国は努力してきましたが、それから四半世紀を過ぎても一向にテロや紛争は収まる気配もありません。かえって新興国の経済発展を基盤とした軍事力の増強や軍事活動が活発となり、作戦環境も宇宙やサイバー空間まで広がり、不安定さ、不透明さが増加しているのが現状です。また、いわゆる国家対非国家主体・テロとの戦いから、過去の伝統的な国家対国家という要素も考慮しなければならない時代になりました。中東や欧州、アジア、もちろん日本自身を取り巻く安全保障環境も著しく厳しくなりました。
 このような中にあって、この数年、日本の安全保障政策も本来の姿に向かって大きく変化しつつあります。国家安全保障戦略の策定、国家安全保障会議の創設、新防衛大綱・中期防衛力整備計画の策定等に始まり、昨年は日米新ガイドラインが合意され、更に集団的自衛権の限定的運用を可能とすることなどを内容とした新安保関連法案が国会で決議されました。
 自衛隊にとっても新防衛計画の大綱の下で防衛力整備が進みつつありますが、運用的観点からは、昨年十月には内局運用企画局を統合幕僚監部に合一し、態勢が強化された新統合幕僚監部が動き出しました。大きな歴史的転換による新しい自衛隊統合運用時代の幕開けが始まっています。これから防衛省・自衛隊には厳しい安全保障環境の中で、「信頼される、確実な任務遂行」という、益々重要な役割と国民の期待が求められていくことになります。時代はこれからも大きく変化します。現役同窓生にとっても自衛隊幹部の中核としての責務が大きくなっていくでしょう。
 これからの時代にあって、同窓会の活動も一つの転機です。「過去に対する思いを重点とした同窓会活動」から「将来に対する視点をより取り込んだ同窓会活動」、いわゆる、自衛隊の変化に適応した現役同窓生の活動を活性化する、支援する、あるいは留学同窓生との連携という取り組み等も強化していく必要があるのかもしれません。防大では國分学校長の主導で「教育、訓練、研究の将来のあり方を考える新たな高みプロジェクト」をスタートさせ、防大の20年後、30年後を見据えた取り組みが進んでいます。同窓会としてもできる限りの御協力・御支援をしていきたいと思います。同窓会本部でも将来の取り組みについて、会員の皆様の御意見をいただきながら、今後取り組んで参ります。どうぞよろしくお願い致します。

最後になりますが、本年も会員の皆様のご健勝とご活躍を祈念申し上げます。

20160101oriki.jpg2016年1月1日
防衛大学校同窓会長 折木良一