防大同窓会第3期生会長西元氏との対談(本部事務所)
2015.02.25
平成27年2月16日1345から、防衛大学校同窓会本部事務所において、第3期生会長 西元徹也(陸)氏との対談が実施されました。
永岩会長:
本日はご多忙の折、ここ同窓会本部にお出まし頂き、誠にありがとうございました。同窓会本部は昨年末に防衛省前の好立地のこの場所に移転いたしましたが、お陰様で同窓会の理事会や各期の会合等に大いに活用頂いております。
さて、本日は、3期生会の大先輩の皆様方の現状等についてご紹介頂くとともに、防衛大学校同窓会や後輩諸官に対するご指導等をお聞かせ頂けたらと存じます。
(3期生会の現状・後輩へのメッセージ)
西元3期生会長:
現在、3期生同窓会構成は、陸海空のそれぞれが独立して同窓会を運営しています。陸の同窓会長が期生会長を代行するという形を取っており、期を代表して参加する各種イベントには参加していますが、陸の同窓会長が海空各同窓会長との調整役をしているという状況です。私の場合、一昨年の秋から当面の間、陸3期同窓会長を任されているといった状況ですが。
昨年11月第3金曜日に陸3期生の総会を実施して約80名が集まりました。関東近傍に住んでいるものがほとんどでしたが、北は北海道から西は兵庫県の同期生が集まってくれました。今後の同期生会活動方針について相談いたしましたが、「同期生会基金が尽きるまで今の活動を続ける」と満場一致で合意されました。
それからもう一点ご紹介しておきたいのは、昨年、3期生60周年を記念して、陸、海、空同期生から寄稿文を募り、古賀、藤本、島田三氏の編集委員の尽力により『われら小原台っ子』という文集を作って同期生に頒布したこと、そして国分防衛大学校長のご承認をいただいて2冊を防衛大学校の図書館に寄贈いたしたことです。
後輩諸官に対するメッセージですが、日本を取り巻く安全保障環境が激変する中、来年度早々には、安保法制等の改定が大幅になされ、また、「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の見直しもなされると思います。つまり、自衛隊の活動に対する国民の期待は更に高まり、任務は更に多様化するとともに、活動は広範多岐にわたり、活動の現場も任務によっては非常に厳しいものになろうと思います。次なる時代の部隊指揮官のリーダーシップや任務遂行能力には過去に無いほど高度のレベルのものが要求されることになるでしょうし、相応の覚悟が必要となります。同窓会にはその覚悟のあり方というものを後輩諸官にしっかりと伝えて欲しいと思います。防大生や後輩諸官に、先輩たちの背中を見せるということは非常に大事なことだと思います。
永岩会長:
自衛隊の中の中核をなす存在としての防衛大学校卒業生であり、同窓会ということでありますので、その点については重々認識しつつ、同窓会活動を進めているわけですが、これだけのポテンシャルの組織でありながら、たとえば我が国の安全保障環境を改善するために積極的な活動を推進しますとか、政治的な活動を推進することに関しては色々と意見のあるところです。いずれにしろ、ご指摘のとおり、安全保障環境の大きな変わり目でもあり、その厳しい状況の中、同窓会としても今まで以上の覚悟をもって諸々の施策推進を図らければならないと考えています。
西元3期生会長:
そうですね、そのような基盤を整えるということが、優秀な人材を確保することに最終的には繋がると思います。
そして、新しい安保法制ができた暁に、「これは危ないのではないか」と言って敬遠する若者たちが出て来ないような措置については、政府としてきちっとして頂かなければいけませんし、また、防衛省としても当然のことながら、担当する省として各種行動の安全対策や部内・御家族に対する広報などに万全を期すための努力をしていかなければならないと思いますので、我々としても、私は隊友会の一員でもありますので、国政の要路にある方々提出しております『政策提言』などを通じて最大限の応援をさせて頂きたいと思っています。
永岩会長:
防衛大学校に國分大学校長を戴いて防衛大学校の学生はとても恵まれていると思います。学校長は学校職員に対していつも「すべて防大生のために」をモットーとして教育・訓練に臨まれています。
学校長は、常々、「防衛大学校卒業生の役割は、日本という国家と日本人の独立・平和・安全を守ることであります。これは崇高な使命であります。」と表明され、それを主たる軸として、学生教育に当たられています。
加えて、すべての同窓生に対して、常に過分のお言葉を頂戴していることに、恐縮しつつも、心より感謝致している次第です。
先輩の方々からは、メディアで防衛大学校の不祥事等話題に上るたびに、「同窓会は何をしている!」とのお言葉を頂戴します。。同窓会としては「悪しき伝統は防大の伝統ならず!」「国民の負託に答える防衛大学校のあり方は!」として、同窓会として学校サイドと話し合ったり、同窓会理事と指導官との意見交換会を定期的に実施しているわけですが、我々卒業生が直接防大生指導するというのは適切ではないですし、あくまで、幹事や指導官の立場を尊重しつつ、防衛大学校としてのあるべき姿を追求しようと考えています。
西元3期生会長:
そうですね。そういうことは即ち、会長が言われるとおり、現職の自衛官自身もしっかりとした背中を学生たちに見せてやるということが非常に大切なことだと思います。
(防大入試改革について)
西元3期生会長:
槇学校長以来、学校の理念として強調しております学生のリーダーシップと言いますか、人格形成とリーダーシップの向上ということについては、学問も確かに大切なんですけれども、私はある極論を言いますと、そのこと(人格形成とリーダーシップの向上)は防衛大学校にとっては学問と同等もしくはそれ以上に重要な分野ではないかと思っており、だからシビリアンの先生方が仮に学問的分野だけに一生懸命になるのではなくて、やはり、その先生方もご自分の体験なり人生経験を通じてですね、まあ制服の指導官、或いは防衛学の教官ももちろんなんですけれども、シビリアンの先生方も一致協力して、その人格形成とリーダーシップの向上に特別の意を、防大としては用いて頂きたいと思います。
実は、たまたま補佐官の時に、それは民主党政権の時ですが、五百旗頭学校長のご尽力によって、防衛大学校の入試の改革をやったんですね。この前、隊友会のある方がおっしゃるには、その方の甥御さんがその新しい防大入試の選抜方法のために防大に合格できたのですが、「昔だったらとてもじゃないけど合格できるレベルではなかった。」とのことでした。
例えば、運動部のキャプテンをやっている人はそれなりの人格やリーダーシップを持っており、ある基準を試験で超えれば、試験だけの順番であれば落ちる可能性もあるのですが、面接の中で人格とリーダーシップをよく見極めて、そういう者については合格させてもいいのではないかという(入試方式を採用した)のが、大きな改革でした。
永岩会長:
実際にそのような(選抜合格)学生数人の評判を聞いたところ、「自分自身の考え方もしっかりとしており、やる気、集中力も含めて、非常に良い学生が入って来てくれている。」と学校長も高い評価をされておりました。
西元3期生会長:
嬉しいですね。その例は、先ほど話をしました、ある隊友会の友人が言ってきた今度の新入生のことです。
永岩会長:
代議員会でもよく出てくる話で、防大OBを防大学校長にという声が出てくるのですが、現在のところ、國分学校長が非常に素晴らしい方ですので、あまり話題に上りません。将来、学校長が変わられる時が来ましたらまた同じような話題が出てくるものと思っておりますし、また防大卒業生の中に学校長に相応しい人物がいないかと言うと、そのようなことは全くありませんし、その時の議論を楽しみにしております。
西元3期生会長:
そのような人材というのは卒業生に中にいらっしゃると思います、これからもまた出てくると思いますが、そこはやはり時期を待つことだと思います。それもやはり先ほど申しましたように、自衛隊としての地位を憲法上にしっかり固めた上で、おそらくそういったことも実現するのではないかと思っております。
(タイ国タナラット海軍大将来日について)
永岩会長:
先般、タイ王国からの留学生であったタナラット海軍大将が来日いたしました。23期の卒業生で、防大卒業後、幹部候補生学校を卒業後、遠洋航海にも行き、その後、防研にも入校したんですね。現在、タイ王国海軍参謀長になっております。彼のほかにも、防大26期留学生のジョム・スンサワン空軍中将がいて、現在参謀長ですが、将来空軍司令官の有力な候補となっているという話でした。そういった人材が控えているというのも有難い話です。
タナラット海軍大将の講話を防大で聞いたのですが、彼はASEAN諸国の防大卒業生のネットワークを構築しようと推奨しています。微妙な関係の隣国も無いわけではないのですが、防大同窓生(留学生)の繋ぎを通じて地域の安定に寄与しているということは、非常に素晴らしいことで、有難いことだと思っています。安倍総理の「積極的平和外交」そのものであると思います。まさに、防衛大学校の先見の明であると思っています。このことは今後とも継続していって欲しいと思っております。
西元3期生会長:
まったくそのとおりで嬉しいことですね。実は防衛省にペトリオットの配置する時に車両等を配置する場所の南側に、航空機が展示してあるのですが、その横に、インドネシアの独立の志士初代の国軍司令官の等身大の銅像が立っております。多分ご存知だとは思いますが・・
永岩会長:
タナラット海軍大将がASEAN防大同窓生ネットワークを推進するということで、大変ありがたいことであり、今後とも同窓会としても積極的に応援していきたいと思います。。
西元3期生会長:
それは有難いですね。そういう留学生ネットワークができますと、海上自衛隊が実施している遠洋航海、人道支援のためにパシフィック・パートナシップといって東南アジアを巡回していますよね、さらに、コブラ・ゴールド或いはリムパックもありますので、またそういった演習の意義も非常に大きいものだと思います。たぶん、今度の法改正によって、限定的ではなく全面的にリムパックやコブラ・ゴールドに参加できるようになると思うのですが、ますますそういったネットワークの強化といったことには繋がるのではないかと思います。
永岩会長:
当方の最後の職は航空支援集団司令官でしたが、イラク復興支援任務で中東派遣をしておりました折に、C-130輸送機の経由地としてタイ王国ウータパオ海軍基地を何回も使用させていただきました。ある立ち寄りの時、防大の同窓生が集まってくれて同窓会を催してくれたこともあります。インドネシアの場合は、津波の時にバンダアチェまで復興支援にも行きました。
西元3期生会長:
本日これから防衛省に行きますので、その時、写真をとって送りますよ。
永岩会長:
それはありがとうございます。ぜひお願い致します。
(学生諸活動に対する同窓会支援活動について)
西元3期生会長:
同窓会として、学生の諸活動に具体的にどのような支援活動をしておられますか?
永岩会長:
物心両面ということで言いますと、例えば、防大の種々の講演、学会、体育大会、定期訓練等が実施される際に、本部理事を派遣しますとともに、賞品、義援金を提供したり、開校祭や儀式実施の際等に対する金銭的な支援に加え、定期訓練や棒倒し、カッターレース等の際の優勝チームや優秀者に対する表彰時のメダル贈呈等を実施しています。
西元3期生会長:
もし、そういうことについて、例えば、資金が足らなくなった場合には、同窓生に対してカンパを募ってもかまわないと思います。もし、そのような要望があれば、同窓生として、額の如何を問わず、ある程度のカンパをするということについては、私も同期生会(3期生会)に対して呼びかけます。
(防大同窓会費納入状況について)
永岩会長:
そういう観点で申し上げますと、先輩が初めに最初におっしゃいましたように、今後、自衛隊の活動が更に厳しくなった時、、場合によって、防大の同窓生全体で金銭的に支えなければならない事案が発生した時、現在の資産が及ばない場合、状況によっては同窓生にカンパをお願いする時があるかもしれません。
しかし、今のところは、防大卒業と同時に同窓会入会終身会費を納めてもらい、それで賄っているというのが現状です。今年度は59期生が卒業しますが、各副会長が陸海空それぞれの幹部候補生学校に参りまして、同窓会入会と会費完納をお願いする予定です。最近の完納率は約90%以上を維持しております。
トピックスですが、1期生の先輩の方々から、今年度、19名の会費完納のお申し出があり、これで、一期生の先輩は完納率100%を達成されておられます。是非3期生の先輩にもご承知おき頂きたいと存じます。
西元3期生会長:
それは素晴らしいことですね。必ず、3期生全員に伝えます。
永岩会長:
昨年の代議員会の時に、「HCD、HVDの際に同窓会費未納者の方は納入をお願いしたい」と同窓会費納入促進キャンペーンを実施しましたら、今年は複数期から数十名の追加納入がありました。今後是非とも、同窓会費完納を推進して頂けたらと思います。
西元3期生会長:
本当ですね。実は非常に恥ずかしい話ですが、先般同窓会本部からそのお知らせをもらい、3期生会全体で確認したところ、陸が17名、空が3名、海が12名の者が未納であることが判明しました。そこで、陸については、一人一人、メール、ファックス、手紙等で同窓会費完納推進の連絡をとったところ、17名のうち、8名が存命、残りの9名が連絡が取れず、亡くなっているのかどうか不明ということでした。当然のことながら海、空の責任者にも未完納者の名前をお知らせして善処をお願いいたしました。
私は一昨年秋、陸の同期生会会長職に着いたばかりで、このような現状に全く気づかずという状態でした。今後やらなくてはならないことなんですが。同期生会に出てくる者は払っていますので、未完納者の状況を伝えて情報の把握に努め、今後もその点については努力させて頂きたいと思います。
永岩会長:
1期生が同窓会費を完納されたというのは全体に良いメッセージになります。
西元3期生会長:
それについては、本日の対談をホームページに掲載される際載せてもらって、3期生が見た時に、「これはいかん」と思うことは間違いないと思われますので、是非ともよろしくお願いいたします。
永岩会長:
よく東大や慶応大のホームページを見るのですが、我々と違って財を成している先輩方が多いので、献金コーナーが設定されているのを目にします。そこで、防大同窓会ホームページに取り入れようとしているのですが、まだそこまでいっていないのが現状です。
先日、陸17期の同窓生の高橋様から100万円程献金を頂きまして、防大同窓会の名前の入った法被を作り、防大にプレゼントしました。また、箱根駅伝予選会で応援をする時に振る防大の小旗が無いということで、これも作って贈りました。今年の代議員会には、その高橋様も来てくださることになっております。
こういうことは珍しいので早速ホームページに載せて紹介しました。
西元3期生会長:
いろいろご尽力伺って、心から敬意と謝意を表します。
(コミュニテイサイト新設について)
永岩会長:
同窓会ホームページを見て頂けましたら、このような記事を少しずつ載せておりますので、是非見て頂きたいと思います。
また、同窓会ホームページ内にコミュニテイサイトというものを新設しました。3期生の方もその作り方でHPを作りますと簡単にできますので、ご活用頂けたらと思います。各期生会の方も幾つかの期が、それを活用して期生会ホームページを立ち上げておられます。1期の先輩方が最初にアップされましたので、是非ご参考にして頂ければと思いますので宜しくお願いします。
西元3期生会長:
先月ホームページが壊れてしまいまして修復している最中です。もし、同窓会サイトを活用という話になりましたら、担当者からメールを差し上げることになるかもしれませんが、その故障の度合にもよりますが、できるだけ早く修復すべく努力しているところです。
永岩会長:
本日は、お忙しいところ本当にありがとうございました。
西元3期生会長:
防大同窓会長としてのご尽力、本当にありがとうございます。どちらかと言うと、古い者は同期生の方にしか頭が向かないものですから、その辺のところは、次の期生会の総会のときにはしっかりと伝えたいと思います。