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会長ルーム・活動録

防衛大学校訪問・懇談等(その3)

2014.09.01

(訓練部長 伊藤弘海将補との懇談)2014.7.25

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3学年部隊実習視察と日本周辺の安全保障環境
永岩会長
 先週、空自三沢基地に3学年航空要員部隊実習の激励で行って参りました。私の3学年部隊実習は昭和44年夏の百里基地でしたが、その直後に、部隊実習で御世話になった先輩がF-104戦闘機搭乗中に事故で殉職されたのです。
 私の自衛官人生の前半期は、戦闘機パイロットとして飛ぶことに集中する日々でしたが、その厳しさを知った原点は、3学年部隊実習にあった様に思います。
伊藤訓練部長
 会長が三沢基地に行かれた2日後に、私も学生の部隊実習視察で三沢基地に参りました。その際、F-2戦闘機にも搭乗する機会を得て、訓練空域で対領空侵犯措置の対処要領を現示してもらいました。南西域で海自のOP-3等哨戒機が中国の戦闘機に異常な接近飛行をされましたが、想像以上に戦闘機による行動は緊張を強いられる任務である事が実感出来ました。
永岩会長
 空自は昭和33年以来、2万3千回余にのぼるスクランブルを実施し、その過程で厳格な領空侵犯対処手順を確立し現在に至っています。
 信号射撃に係る認識についても、数年前に日米中3ヶ国間の現役・退役高級幹部が参集したフォーラムで、トーマス・ファーゴ元海軍大将(元米国太平洋軍司令官)とともに、中国人民解放軍の幹部に話をした事があります。
 状況により信号射撃を実施する場合においても、スクランブルした戦闘機は相手側の機体と並行して飛び、前方に向かって曳光弾を発射する事を、その手順を踏まえ詳細に説明しました。その際の接近距離も過度の刺激を生じない適切な間隔を保つ事について言及しました。中国側がどの程度の理解をしてくれたか定かではありませんが、ミリタリー間においても各種行動の認識を整合させていく地道な努力が必要だと思います。
伊藤訓練部長
 防大の学生達の実習を視察し部隊を訪れ、学生のみならず私自身が多くの事を学び体験する事が出来ました。三沢から北海道大演習場に移動し4学年陸上要員の訓練を視察しましたが、5日間に亘る連続状況下の陸上訓練を淡々とこなす陸上要員の実習生がたのもしく見えました。
 陸海空の要員が共に教育を受ける防大ならではの訓練視察だったと思います。機会があれば、同窓会長にも、海上要員の訓練実習を激励していただければと思います。その際、海自の精強さを感じ取っていただければ大変光栄です。
永岩会長
 陸海空自衛隊の統合運用を見越したような防大の陸海空要員を一同に集めた教育制度は大変な卓見だと感じます。同時に、留学生諸官の存在も大きな花を咲かせつつあるようですね。

海外に拡がる同窓生の輪
伊藤訓練部長
 本年2月に学校長がタイ及びベトナム両国を歴訪された際は、現地において防大へ留学した同窓生が、学校長を囲む宴に参加し大変感激すべき光景だったと伺いました。タイ海軍司令官は防大出身で、空軍においてもそのトップにつき得る防大出身の人材がおられると聞きています。
 本年6月に環太平洋士官学校長会議がマレーシアで実施された際は、私も学校長に随行させていただきましたが、そこで防大に留学した同窓生との出会いがありました。マレーシアの同窓生4名のうち2名(防大41期・42期)が歓迎夕食会に来てくれたのです。その一人は大変日本語が堪能な陸軍少佐で防大本科のみならず研究科も履修したと聞き、思いは一気に小原台上に飛びました。
 彼の話してくれたグローバルな同窓生の繋がりは興味溢れるものでした。「PKOでバングラデシュに派遣された際、どうも見たことのある東洋系の将校が居る。儘よとばかり、日本語で『何大隊にいた?』と聞いたところ、やはりモンゴルから防大に留学した同窓生だった。」と言うのです。
 また、ベイルートに派遣された時は、各派遣国の将校の中に複数の防大同窓生が居て、現地で同窓会を開いたとの事でした。ベイルートで歌う逍遙歌も聞いてみたかったなと思います。
永岩会長
 私も現役時代に航空支援集団司令官としてタイのウタパオ海軍基地に立ち寄った際、タイの防大同窓生20数名が歓迎会を催してくれて、大変感激した事があります。まさに、防大同窓生の絆もあらたな時代に入ったという感慨がありますね。
 海外の同窓生間ではSNSのフェイスブック活用によって思いのほか交流が盛んなようです。実は、同窓会のホームページも本年から本格的にリニューアルをして、「防大同窓会facebook」の項目を設けましたが、海外からのアクセスが多いことにびっくりしています。
 21世紀における新たな同窓生の繋がり方を、防大に留学した同窓生が示してくれているのかもしれません。この様な同窓生の拡がりの中で、防大同窓会も鋭意活動を進めていきたいと考えております。今後とも、種々、御高配をいただければ幸いです。(広報 杉山伸樹 記)