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会長ルーム・活動録

防衛大学校訪問・懇談等(その1)

2014.09.01

 永岩会長が防大を訪問した7月25日(金)午後、小原台は遠泳訓練に専心する1学年以外は部隊実習等で学生も少なく、猛暑の中、緑濃き校内は静まり返っていた。当日、國分良成学校長は御不在であったが、防大上層部の方々と同窓会との更なる情報共有を深めるべく、その機会を求めて会長は防大を訪れた。

(渡邉啓二 防衛大学校副校長)

 渡邉副校長は、防大19期生として機械工学を専攻、引き続き理工学研究科を履修、「路外車両の走行力学」を研究分野とする工学博士として、研究者・教育者の立場から防大機械工学科の中核を担ってきた。学術論文においても、国際地盤車両学会において複数回の最優秀・優秀論文賞に輝いている。
 また、研究者としてのみならず、システム工学群機械工学科長、理工学研究科教務主事、教務部長等の要職を歴任し、防大の教育運営・管理全般を掌り、今春から学生教育を主幹として学校長を補佐する防大副校長(教育担当)に就任されている。

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 永岩会長が副校長を訪れた際、屋外は熱波を感じるごとき猛暑であり、副校長との懇談冒頭、喉の渇きを癒すべく会長は卓上の飲物をグッと飲んだ。

副校長(教育担当)としての想い
永岩会長
 旨い。これは、大変美味しい飲物ですね。(副校長から、その飲物が奥様お手製の「梅シロップ」と聞くと!)まろやかに冷えた梅の味わいが体に浸みわたりました。汗も引き、やっと、落ち着いて副校長のお話を伺う事が出来ます。まず、副校長に御就任になられ、学生教育に係る現在のお考えはどの様なものでしょうか。
渡邉副校長
 御承知のとおり、防大のVice Presidentは3人おります。事務官出身の企画管理担当副校長、教官出身の教育担当副校長そして自衛官出身で訓練・訓育を担当する幹事です。この3人がそれぞれの出身で培われた識見を活かしつつ、学校長が主導される学校運営を補佐するのです。
 学校長は日頃から『すべては学生のために~』と言われていますが、この御言葉はシンプルにして防大の学校運営の本質を明確に表しています。どうしても、各学校職員は自らの職務に専念し、学生に対する思い入れが強くなる程、やりたい事は多くなります。私も現場の教官が「あれも教えたい。これも講義に加えたい。」という気持ちを持つことが痛い程、よく分かります。
 また同時に、私自身、40年もの時が経ちましたが、防大の学生として小原台で青春時代を過し、学生舎生活、訓練等における経験を積む事が出来ました。お蔭さまで、学生の目線、体感も感じ理解することが出来ます。防大の卒業生であるが故の話易さもあり、学校運営にあたって適切なバランスを保つ上で潤滑剤と成り得る事もあると思います。学生のため現在最も大切な選択は何かという学内の模索にあたって、私の知見もお役に立てる部分があるのではと考えている次第です。

防大同窓会に期待すること
永岩会長
 2万4千名にのぼる防大同窓生に望まれる事柄はありますか。多くの同窓生、特に現役自衛官の職責を終えOBとなった同窓生の防大に対する想いを、同窓会長として強く感じているこの頃ですが~。
渡邉副校長
 同窓生の方々にお願いしたいのは、『現在の防大がどうなっているのか。どの様な方向性を持って努力しているのか』という事に関心を持って頂きたいということです。
 本年の開校祭記念講演にはノーベル平和賞を受賞した化学兵器禁止機関(OPCW)の初代査察局長であった秋山一郎さんにお話しを頂ける事となりました。この記念講演では、聴講する学生達が、世界の平和と安定のために貢献する先輩の行動から、大いなる動機付けを頂く事が最大の目的です。
 また同時に、秋山さん御自身にも、現在の防大について感じ取っていただける部分があると思います。すなわち、記念講堂、図書館、学生舎等の施設が一新した等、校内の風景インフラの変化もありますが、講演をいただいた内容に対する質問、国際情勢に対する関心度合い等における学生の姿を通じて、当世の防大学生の有する考え方、価値観そして気質に至るまで、学生達の姿そのものの中で変わった部分、変わらぬところをお気付きになる事でしょう。
 秋山さんのみならず、多くの同窓生の方々に、このような現在の学生達の姿に関心を持ち、見守っていただければ幸いです。
永岩会長
 同窓生でも現役の諸官は、担うべき任務を眼前にして母校の後輩達に思いを寄せる余裕もなかなか無いのかもしれません。先週、3学年航空要員の部隊実習激励のため空自の三沢基地に行って来ました。そこで、多くの各級部隊指揮官クラスの同窓生と会ってきましたが、みんな異口同音に実習学生に対する想い入れと卒業以降の活躍に対する期待を語ってくれました。
 私自身、激励講話の中で、若い彼等に思いを伝えるため操縦桿に例えて、その握るControlを託すべく『You have control!』と呼びかけると、学生全員が『I have control!』と大声で答えてくれました。年甲斐もなく私も年若い防大生諸君への語りかけに熱が入りましたが、同窓生の現役防大生を見つめる想いは皆同じだと思います。

同窓生が防大を訪れる時・防大教育における相互理解
永岩会長
 同窓生が防大を訪れる機会は、イベントとして2回ありますね。まず、卒業後約20年を経て、自衛隊の諸活動を支える中堅幹部時代にホーム・ビジット・デー(HVD)として、揺籃の地、小原台を訪れる。毎年、開校祭実施時期に行われ、昨年は37期生でしたが、自衛官人生の過去・現在を見つめ、将来への想いを見定めるには大変良い機会だと思います。
 もう1つはホーム・カミング・デー(HCD)。卒業後40数年を経て、全ての同期生が国防の任を終え、自らの人生全体を俯瞰する時期に母校を訪問する、大変、感動溢れるイベントです。今年3月の58期生卒業式に併せて、私達15期生のHCDが行われ、学校長には格段のご配慮を頂戴致して、同窓生一同、心より感謝・感涙しておりました。自らの人生において、防大の絆が如何に大きく大切なものか、改めて実感した次第です。
渡邉副校長
 これらの同窓生が、その故地である小原台を訪問するイベントを防大としても大変重要な行事として捉えています。特に國分学校長は、国家防衛の任に就き、またその任を全うした同窓生に対する尊敬の念を随所に表されています。
 今春の卒業式式辞においても『・・・43年前の卒業生である第15期生の先輩方が、これから旅立つ若き後輩達のために全国から駆けつけてくださいました。ここに参集された先輩達は、戦後の日本を陰で支え、今日の平和と安全の礎を築いてこられた縁の下の勇者であります。青春の原点。小原台にお帰りなさい。』と述べられ、私も同窓生そして学校職員として、大変胸の熱くなる想いがいたしました。
 防大には学校に在職した職員(現役・OB)で構成する「武黌会」という親睦会がありますが、その年1回の懇親会に学校長に御出で頂き、宴の最後まで参集者と親しく懇談をしていただきました。これも防大の学生を育成するためには、自衛官のみならず教官、技官、事務官等様々な出身の人達が支え合い一丸となって進む事の大切さ、また、その努力をされてきた方々への敬意に根差されたものだと拝察します。
 先般、防大1期生有志の方々が学校見学をされた際も、学校長は自ら御予定を変更され、1期生の方々との昼食会に臨まれました。この様に学校長の行動される原点には、組織を運営するためには、過去、現在を問わず関係者全てが共有する信頼と敬意が大切であり、それらを基盤とした相互理解こそ最も重要だとされる想いがおありになるのではないでしょうか。
 私も副校長として、「すべては学生のため」という言葉を共通理念として、学校職員そして同窓会の方々と相互理解を図っていきたいと考えております。

「新たな高みへ向けて」プロジェクト
永岩会長
 高みプロジェクトを推進するにあたって、同窓会で支援させていただける事項について、お考えをお聞かせ願います。
渡邉副校長
 國分学校長は、高みプロジェクトを推進する会議において「学校長としてリーダーシップを取るが、個々の具体的案件を押し付けるつもりは無い。防大の学生を更なる高みにおいて育成し、時代の要請に答えていくために何が必要か皆で考えてほしい」と関係職員に言われました。
 その後、関係者間における真剣な議論を経て、現在、概ね実施すべき項目と工程表が出来上がりつつあります。
 同窓会におかれましても、防大のプロジェクト関係者と緊密な連携を取りつつ、防大卒業生の足跡等の整理にあたって御支援いただければ大変助かります。防大卒業生の方々が築いてこられた足跡は、防大及び同窓生のものとしてだけではなく、広く日本そして世界共有の財産ではないかと私達プロジェクトに係る者は考えております。その想いは同窓会の方々がより強く持たれているものと拝察いたしますが、今後とも現在そして未来の防大生のため御高配を賜れば幸いです。
永岩会長
 本日は、渡邉副校長とお話出来て、大変有意義な時間を過ごすことが出来ました。今後とも、防大同窓会をよろしくお願いいたします。(広報 杉山伸樹 記)