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会長ルーム・活動録

中谷元衆議院議員との対談

2014.02.03

平成26年1月27日1300から、衆議院第2議員会館において、中谷元衆議院議員と永岩同窓会会長との対談が実施された。

永岩会長:先日は、「中国の東シナ海防空識別区」設定問題に関するBSフジのLIVE番組で共演させていただいた折には、大変お世話になりました。 (プライムニュース『中国防空識別圏の波紋 尖閣上空で何が起こる』)(http://www.bsfuji.tv/primenews/text/txt131205.html)image1.jpeg
 本日は、中谷議員のご活躍を防大のホームページに掲載するためにまいりました。我が国の安全保障上の喫緊の課題、議員の防大学生時代の思い出、そして後輩や防大に期待すること等について、お話しをうかがいたいと思います。先ずは現在の政治的課題についてお考えをお聞かせ下さい。

中谷議員:私は、防大24期生で、政治の世界に入って今年で24年目ですが、防大で学び、そして陸上自衛隊の幹部としてお世話になった5年間が基になって安全保障問題を中心に政治活動をしてまいりました。私が政治の世界に入った1990年は冷戦が終わった年で、その後PKOが始まり、自衛隊が目に見える形で活動する時代がやってきました。1990年以降にはまた、阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件が起こりましたが、その都度自衛隊法の拡大も図りましたが、自衛隊は見事に期待に応え、国民の理解を得て来たと思います。特に、現場における法律の運用という難しい課題を抱えながら、防大卒業生は、現場の幹部自衛官として、任務の完遂に全力を挙げ本当によくやってくれたと思いますし、国民の期待に応えるべく努力している姿を見て非常に嬉しく思いました。
 2001年からは防衛庁長官(当時)を拝命し、その時「9.11」が発生しましたが、防衛庁長官として行うべきことが山積する中で、日米協力関係の強化を図ることができたことは我ながら良かったと思っています。
 最近関わった仕事としましては、アデン湾における海賊対処関連、昨年のアルジェリアの人質事件を教訓とする陸自の邦人輸送関連の法整備、空自のFー35の導入等でしょうか。特にFー35の導入により航空優勢の獲得に踏み出しましたが、武器輸出3原則の存在により、国内の航空機産業が限られたものしか作れないのは問題だと思っています。この問題を何とか解決しなければならないと考えております。

image2.jpeg永岩会長:昨年大きな話題となったNSC発足について、ご苦労なさったことや今後の課題についてお話しいただければと思います。

中谷議員:国会でNSC法案の筆頭理事をやらせて頂きましたが、ちゃんとした窓口ができたことにより情報交換が容易になり、秘密の話もできるということでこの法律は世界各国から高い評価を得ておりますし、内閣の意思決定の迅速化につながるものだと思います。私が自衛隊で学んだ「情報のリサイクル」、即ち「収集」→「分析」→「活用」→「収集」が、それがようやく官邸にできたなあ、と感じています。今後は、情報の専門家、軍事の専門家としての自衛隊OBの活用も視野に入れながら、適切に運営していく必要があると思います。
 また「特定秘密保護法案」も審議しましたが、今までなかったのがおかしいのであって、ようやく基本的ルールができたということだと思います。そこで議論になったのが、国会が政府情報を活用し監視する機関を作ろうということで、私も海外視察に行きましたが、これはどこの国にもあります。国会に情報の専門家や情報のわかるOBがいて、専門的にちゃんと補佐をすれば、議会は行政をコントロールできると思います。

永岩会長:「防衛秘密保護法」の議論においては、メデイアを通じて国民への説明が正確に伝わらず、かえって国民に誤解を与えたように感じましたが。

中谷議員:「国民の自由や権利が奪われる」との議論がありましたが、そんなことは全くありません。防衛秘密を運用して既に10年になりますが、この間、取材を受ける上で何一つ制限が加わったこともありません。ありもしないことを殊更誇張しての報道は、報道の仕方としては反対意見に偏ったものと感じました。賛成反対両論併記で国民に議論してもらうのが報道の使命・役割ではないでしょうか。

永岩会長:積年の課題が、安倍政権のこの1年間で具体的に促進されてきたように思います。今年の、或いは今年以降の課題をどのようにお考えでしょうか?

中谷議員:やはり一番は日米安保体制の強化でしょう。中国の尖閣侵出に対処するには、自衛隊の能力向上と米軍による抑止力が不可欠です。とりわけ沖縄の米軍事力が重要ですから、沖縄の皆様のご理解を得る努力を継続しつつ、全国で沖縄の負担を分かち合う行動を執ることが必要だと考えております。

永岩会長:防衛力整備や防衛力の運用に関して、議員の同期前後の人達が現在自衛隊で枢要なポストで活躍されていると思いますが、自衛隊に期待することは何でしょうか?

中谷議員:自衛隊は、健全にそして順調に成長して来ていると思います。隊員のimage3.jpeg士気も高く、勤務振りも申し分ないと思います。これは各級指揮官の誠実な指揮・指導の賜物と思っています。私は防大で「廉恥、真勇、礼節」ということを学びました。毎晩毎晩、寝る前に聞かされましたが、今思うと「廉恥、真勇、礼節」とはまさに武士道だと思います。恥を知れ、真の勇気を出せ、礼儀をわきまえよ、とは日本人の美徳であり、武士(もののふ)の心構えであり、上に立つ者の理想像だと思います。また、このような徳目が根底にあってこそ国防組織は成り立つし、良き伝統を継承していけるものと思います。

永岩会長:防大の話になりましたが、議員の防大時代ついてお話しいただけますか?

中谷議員:私は欠点だらけの人間ですから、とにかく自分を鍛えて行こうという思いがありました。それで運動神経が悪いのにラグビー部に入り、どこまでやれるか自分を試してみました。結果的になんとか4年間続けることができ、それが私の大きな自信に繋がりました。例えば茶碗も同じで一番弱いところから壊れていきます。若い時に弱点を補強しておくことが強靭な人間を造りあげる上で大事なことだと思います。私は防大4年間の校友会活動、訓練、学生舎生活で強靭な人間になることができたと思っています。

永岩会長:学生生活で一番思い出に残っていること、辛かったことは何でしょうか?

中谷議員:辛かったことはありません。が、身だしなみを整えることが不得意でした。特に洗濯が苦手で、コマメに洗濯しなかったものですから上級生からよく叱られました。相当厳しく叱られましたが、未だに直っていません。人間の本性を変えるのは難しいと痛感しております。

永岩会長:防大は、陸海空が一緒に学ぶという、士官学校としては世界でも珍しい学校なのですが、自衛隊の統合運用にかかわる防大の役割、利点をどのようにお考えでしょうか?

中谷議員:私が1年生の時の部屋長は航空要員、対番は海上要員で、私は陸上要員になりました。陸海空の軍種の区別なく、人としての絆で結ばれた防大生活だったと思っていますし、陸海空の同期の関係も大変良かったと思っています。2001年に防衛庁長官として統合運用体制強化に向けて決断し、舵を切った時、防大生活4年間の経験から絶対に上手くいくと言う自信がありました。あれから10年が経って、東日本大震災における実統合オペレーションや米軍との統合訓練も進み、見事に統合の時代になったなあというのが実感です。これが防大で陸海空の要員が一緒に学ぶ大きな利点ではないかと思っています。

永岩会長:次なる時代を見据えて、防大生或いは防衛大学校に期待するものがありましたらお聞かせください。

中谷議員:防大は、校則や規律は厳しかったのですが、発想が柔軟な方が多く、ユニークな上級生も多数居られました。是非この柔軟性を維持発展させて欲しいと思います。幹部自衛官になって、アイデイア豊富で独創的な指揮統率をして欲しいと思います。と申しますのは、一昔前は、例えば大規模の戦車軍団の着上陸侵攻を如何に阻止するかというような考え方で隊務運営をすればそれで済みましたが、今はサイバ-やテロと言う予測出来ない危機に対応する必要があり、それには柔軟な発想が極めて大事だからです。また福島の原発事故対応の教訓から、最後は自衛隊に頼るしかないという状況下では、現場の指揮官には臨機応変な判断と行動が求められます。それに応えられる資質の涵養が特に必要と考えます。

永岩会長:防大同窓会員は2万数千名おりますが、約半数は現役ユニフォームで約半数がOBです。それら会員に何か伝えたいことがありましたらお聞かせ下さい。

中谷議員:現役の皆さんは、一般の人より数段優れた能力と高い見識を持っていますから、自衛官であっても外に向かって大いに主張して貰いたいと思います。一般の人の中には安全保障・軍事に関して興味を持っている人(興味はあるが知識は乏しい)も多いですが、反面それに応えられる専門家が少ないと感じています。テレビや新聞に出て、安全保障・軍事の専門家として本当はこうなんだと言ってもらいたですね。また、OBの方は優れた指揮統率力を持っておられますから、社会全体が良くなるように特に地域のリーダーとして、市会議員や県会議員としての活躍も期待したいと思います。

永岩会長:本日はお忙しい中、本当に有難うございました。

image4.jpeg(本部事務局事業部担当記)