同窓生は今

67期生に聞く ~海自一般幹部候補生~

2023.10.30

「後輩に伝えたいこと」



海上自衛隊幹部候補生学校doumoto1.jpg

 第74期一般幹部候補生課程 第3分隊

  一般幹部候補生 海曹長  堂本 貴弘

 海上自衛隊幹部候補生学校 第74期一般幹部候補生課程(Ⅰ課程)の堂本候補生です。この度、防衛大学校 第67期本科学生の卒業生を代表し、「小原台だより」に寄稿する機会を頂きましたので、「後輩に伝えたいこと」と題し、私が感じたことを綴ろうと思います。

 私が、候校に入校して早半年が経ちました。候校における生活を日々過ごしていく中で、多くの同期たちと目指すべき人生設計やあるべき人徳について会話を交わしてきました。中には、自身の目指すべき道が私たちとは違うと考え、以前とは違う将来に向かって挑戦していった者たちもいました。そんな中で私が感じた海上自衛隊幹部候補生学校という教育機関と私たちについて後輩にあたる皆様に伝えておきたいことを3点に綴ろうと思います。

 1つ目は、防衛大学校在学時に想像していた本校と私が生活していく中で実感した本校に対するイメージの齟齬についてです。私が防衛大学校在学時に想像していた本校に対するイメージを平易な言葉で言い換えれば、「またもう1年間、1年生に戻るのか」でした。このイメージは全くもって間違えていたというわけではありませんでしたが、いくつか違っていた点はあるように考えます。その主たるところは日々の生活の中の一つ一つの行為に意味を見出す努力とその価値という点です。本校に入校するとほぼ毎日ある服装容儀点検、分隊点検、短艇競技、8マイル遠泳(8時間弱)及び起床と同時にかかる総短艇訓練など厳しい訓練が待っています。さらに疲れた身体に休ませる暇を与えずに厳しい指導が追い打ちをかけてきます。これだけ見ればイメージどおりと思います。しかし、私が伝えたいのはそれぞれの訓練や教官との問答は決して無駄ではないということです。訓練一つ一つには目的があり、妥協すれば得られるものはもちろんありません。逆説的に言えば、努力をすればするだけ、同期との絆の醸成、部隊の指揮、統率法の理解並びに部下を率いるリーダー像の確立等々が得られます。もちろん、きついことを妥協せずにやるには根気が必要ではありますが、その先にある価値に気づくことができれば本校の良さがわかると考えます。

 2つ目は、同期の大切さについてです。同期の大切さについては防衛大学校でも教わり続けると思いますが、本校においてはそれ以上に同期との協力を求められます。海上自衛隊には同じ期別であっても序列があるという噂を耳にしたことがあると思いますが、実際にそういった人事評価は存在すると私たちも聞いています。ゆえに、利己的な方向に意識が向いてしまうと思われます。しかし、本校においてはこの序列のためではなく利他の精神を求められます。他人の役に立つには自分ができて当たり前でなければなりません。したがって、1人の力ではどうにもできないことを同期と協力し、乗り越えていく修練の場であると理解しています。今そこにいる同期を大切にし、新たに出会う同期と切磋琢磨していってほしいと切に願います。苦しいときには必ず同期が支えてくれます。だからこそ、同期が苦しいときに支えてあげられるように同期を大切にしてほしいです。

 3つ目は、海上自衛隊幹部候補生学校は修練の場であるということについてです。そんなこと聞かずともわかるとは思いますが、あえて伝えたいです。正直、生半可な覚悟だと妥協して易きに流れるばかりで1年間を無駄にすることは間違いありません。人間だから疲れることはあります。でも、人生の糧になる機会を見失わないように高みを目指し続けてほしいです。だからこそ、この1年間が皆様の価値に、人生の糧になるよう、自己の修練に努めてほしいと切に願います。

 長々と伝えてきましたが、後輩にあたる皆様はもっと新たな発見や気づきがあると思います。私が「後輩に伝えたいこと」と題して綴ってきたこの言葉が皆様のためになれば幸いです。

★やっぱりカレーが一番

(2023.10)

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