第66期生に聞く ~陸自一般幹部候補生(1)~
2022.10.23
「精強な部隊を作る幹部自衛官を目指す」
陸上自衛隊幹部候補生学校
第3候補生隊第3区隊
一般幹部候補生 陸曹長 山田 圭花
現在、陸上自衛隊幹部候補生学校第103期一般幹部候補生課程に入校中の防衛大学校第66期卒業生、機械システム工学科、硬式野球部、放送委員会の山田圭花です。
幹部候補生学校での生活が始まってから、早くも5ヶ月が経ちました。日々の生活にはすっかり慣れたものの、久留米の暑さと目まぐるしい日課時限や訓練をこなすのに精一杯な日々を送っています。
さて、去年のこの時期の私は、任官するかどうか、ずっと考えていました。悩んだ末に任官を選択しましたが、今となっては、悩んでよかった、任官してよかったと思っています。そこで今回はそう思うことができた理由について話したいと思います。
まず、悩んでよかったと思えたのは、考えて考え抜いた決断に自信を持てたことです。なぜ自衛官を志したのか、なぜ今は任官することに迷いがあるのか、どんな不安があって、それはどうしたら払拭できるのか、今やりたいと思っていることは今でないといけないのか、どんな生き方をしたいのか、今の私には何が足りていないのか。悩むというのは、自分のことを考え直すチャンスでもあると思っています。当時の私は、ワーキングホリデー(※)に挑戦し、実践的なコミュニケーション能力を向上させ、精神的なタフネスさや自発的な行動力を身につけて、自分の可能性や将来のキャリアを世界に広げたいという想いがありました。そこで、「自分ノート」と題した自問自答をするためのノートを作り、あらゆる問いに対して自分の思いを書き出して整理してみました。そのようにして考えた結果、ワーキングホリデーへの挑戦は必ずしも今である必要はなく、幹部候補生学校が一体どんなところなのか自分の目で確かめてみたい、自分を試してみたいと思い、任官を決意しました。自分を深く見つめ直したことで目標がはっきりとし、幹部候補生学校入校への思いを確固たるものにすることができました。
続いて、任官してよかったと思えたのは、幹部候補生学校での生活を通して、日々成長していると実感できることです。幹部候補生学校での生活は防衛大学校よりはるかに忙しく、体力・気力とも限界に近い過酷な訓練や体力練成が絶え間なく続きますが、ここで行われる全てのことには一貫性があります。定期試験、野外訓練、高良山登山走、藤山武装障害走、30・50・100キロの徒歩行進訓練などにより、常に目標が付与され、それを意識した生活や練成を行います。そのような訓練等においては、「幹部自衛官として必要な資質を涵養し、初級幹部としての基礎を確立する」という修学間の目的がはっきりしており、この共通認識が徹底されていることにより、効果の高い教育・訓練が実施できているのだと感じます。
防衛大学校での生活が長くなっていくにつれて、将来のこと、任官のことを考える時間が増え、そのことへの不安が募るのは当たり前です。しかし、防衛大学校での1年生の生活やカッター期間を経験しているのであれば、幹部候補生学校での生活のことはあまり心配する必要はありません。10ヶ月という短い期間ではありますが、濃い毎日を通して非常に強固な同期の絆が生まれます。防衛大学校の同期だけでなく、一般大、曹士、薬剤師、体育学校出身の同期も共に生活するため、価値観や教養など新しい刺激を感じることが多くあります。そんな仲間たちと一緒ならどんなことでも乗り越えられるように感じます。長い人生の中での1年足らず、私はここでの生活を絶大な費用対効果のある試練の場だと思っています。自衛官としてはもちろん、人としても間違いなく成長できる場所です。忍耐なくして、成長はありません。また、もし不安を抱えていたり、悩んだりしているのであれば、それは自分を深く知るチャンスです。考えることから目を背けず、素直な自分の気持ちに耳を傾けてみてください。
最後に、防衛大学校では自分の時間を比較的確保しやすいので、「今」を全力で楽しんでください。みなさんの未来が充実した笑顔溢れるものであることを願っています。
※ ワーキングホリデー:二国・地域間の取決め等に基づき、各々が、相手国・地域の青少年に対し、休暇目的の入国及び滞在期間中における旅行・滞在資金を補うための付随的な就労を認める制度
(外務省HPから引用)
(2022.10.23)