同窓生は今

第65期生に聞く ~海自一般幹部候補生~

2021.10.21

「後輩へのメッセージ」

海上自衛隊幹部候補生学校N56.png

 第72期一般幹部候補生課程 第1分隊

  一般幹部候補生 海曹長  坂東 渉伍

はじめに
 3月28日に期待と不安を胸に抱え、海上自衛隊幹部候補生学校(以下、候校)の門をくぐってから早くも半年が過ぎようとしています。様々な訓練や競技会を経験し、候校での生活にも少しずつ慣れ始めました。この度、「小原台だより」を通じて、後輩へメッセージを送る機会を与えて下さった防衛大学校同窓会の皆様には心から感謝を申し上げます。第72期一般幹部候補生課程を代表し、坂東候補生(第65期、航空宇宙工学科、ボート部、愛媛県出身)が後輩へのメッセージとして、「幹部候補生のあるべき姿」、「同期から学ぶこと」、「防大でやるべきこと」の3点について述べさせていただきます。

幹部候補生のあるべき姿
 幹部候補生には自主自律、自啓自発の姿勢が求められており、その実践の場として、役員、週番、当直、競技会、各種実習等があります。例えば、競技会においては他分隊に勝つための作戦を学生が考案し、それを実現するための効果的な訓練を学生が計画します。その他にも規律の乱れ等、改善すべき事項があれば学生が改善策を考え行動しています。
 私は、これらの機会を通じて自主自律、自啓自発を追求することが幹部候補生のあるべき姿であると考えます。我々に求められていることは、幹部自衛官に必要な基礎的知識を身につけることだけではありません。幹部自衛官に必要なリーダーシップ、シーマンシップや自衛官の心がまえを体得するために自主自律、自啓自発を発揮することが不可欠です。
 この幹部候補生のあるべき姿は、防大生のあるべき姿に通じるものがあると思います。防大では、知・徳・体の3本柱を身につけるために、教育訓練、学生舎生活、校友会があり、学生主体で考えて行動することが求められます。それらの活動を通じて学んだことは、候校においても、そして将来幹部自衛官になった時に必ず役に立つと考えます。 同期から学ぶこと 候校には、防大卒の候補生(Ⅰ課程)の他にも、一般大学卒(相当含む。)の候補生(Ⅱ課程)や防衛医大卒・一般大学歯学部卒の医科歯科看護科幹部候補生課程、海曹長になるまで勤務して入校する幹部予定者課程、部隊で数年勤務してから入校する一般幹部候補生課程(部内課程)、飛行幹部候補生課程、そして公募幹部課程が入校します。
 私は、候校で他課程出身の候補生との交流を通じて、自らの見聞を広め、多様な価値観に触れる機会を得ました。例えば、一般大学卒の同期の考え方やこれまでの経験は、防大で4年間を過ごし、考え方が自衛隊一色に染まっている私たちに新しい視座を与えてくれます。医科歯科看護科幹部候補生課程の同期とは交流を通じて、今後の医官のキャリアや医官としての志を知る良い機会になりました。また、部隊経験がある幹部予定者課程や部内課程の候補生との話では、海曹士はどのような幹部に指揮されたいかということや、部隊で彼らがどのような考えをもって勤務していたかを知ることができます。このように、候校では自分とは違う考え方や価値観を他課程の同期から学ぶことができます。

防大でやるべきこと
 最後に、防大でやるべきことについて私の考えを述べようと思います。それは、自分の理想の幹部自衛官像を持つこと、そして同期や指導官との関わりを大切にすることです。防大では、学年が上がるごとに授業数や上級生からの指導は減るため、目標なく生活している学生の生活は楽なものになりがちです。しかし、楽な状況へと流されるのではなく、常に理想の幹部自衛官になるために必要なことを考え、行動してください。先に述べたように、防大には教育訓練、学生舎生活、校友会において学生主体で考えて行動することが求められます。これらを行うことは難しく、失敗もあるとは思いますが、学べることも多くあります。目標なく過ごす者と、目標に向けて努力する者とでは卒業時に大きな差ができます。常に自分は何をすべきなのかを考えて日々を過ごしてください。
 また、陸空要員の同期と積極的に関わってください。これからの自衛隊は、現在以上に統合運用を進めていくと思います。陸海空の考え方の違いを知り、理解しておくことは、将来自分が幹部自衛官となり、統合運用で任務を遂行する際に、必ず役に立つものと考えます。海上要員のみならず、陸空要員の同期とも絆を深めてください。

おわりに
 これまで述べてきたように、防大では多くのことを学ぶことができます。しかし、それらは自分から学びにいかなければ身につけることができないものばかりです。堕落した生活を過ごして後悔を胸に卒業するか、目標をもって生活して自らの成長を実感し、胸を張って卒業できるかは君たち次第です。立派な幹部自衛官を目指してお互い頑張りましょう。部隊で会うのを楽しみにしています。

(2021.10.12)

前の記事  次の記事