同窓生は今

第65期生に聞く ~陸自一般幹部候補生(1)~

2021.10.21

「精強な部隊を作る幹部自衛官を目指す」

陸上自衛隊幹部候補生学校池上.jpg

 第3候補生隊第5区隊

  一般幹部候補生 陸曹長 池上 智浩

 現在、陸上自衛隊幹部候補生学校・第102期一般幹部候補生(防大、一般大等出身者)課程に入校中の防衛大学校第65期卒業生、応用化学科、自転車競技部の池上智浩です。
 私が幹部候補生学校に着校してから早くも5か月が経過しました。幹部候補生学校での生活は防衛大学校より忙しく厳しいものでありますが、その生活も当たり前となり、今では非常に充実した日々を送っています。
 とはいうものの、在校生は幹部候補生学校に対して少なからず不安を持っていることと思います。私自身着校するまで幹部候補生学校のことをほとんど知らず、着慣れない制服に袖を通し、不安を胸に幹部候補生学校の門をくぐりました。そこで今回は2つのことについて話したいと思います。本稿が後輩たちの不安の払拭、今後の生活に繋がると幸いです。

 1つめは幹部候補生学校はどんな所か、とういうことについてです。先輩方から聞いている人もいると思いますが、間違いなく幹部候補生学校では防衛大学校の普段の生活より厳しく、忙しい生活が待っています。これは10か月という非常に短い期間の中で我々を指揮官に育て上げるためであります。ですが、防衛大学校における1年生からカッター期間までの厳しさ、忙しさに勝るものはありません。あれ以上のものは今後めったにないと思うので安心してください。
 幹部候補生学校では10か月という短い間に5回の試験、高良山走、武装走、100㎞行軍などイベントが多数存在します。我々には常に目標が付与され、日々自らの成長を感じることができ、非常に充実した生活を送ることができます。また、ここでは一般大、陸曹、陸士、薬学生、体育学校出身の同期も共に生活します。初めは自衛隊の生活に不慣れなため、頼りなく感じることもあるかもしれませんが、是非手を差し伸べてあげてください。彼らの成長速度はすさまじく、今では防大出身だっけ?と思うほどです。彼らの柔軟な発想、価値観、教養からは日々多くのことを学ばせてもらい、助けられます。もちろん我々防衛大学校出身の者も例外なく成長できます。ここで行われること全ては一貫して「精強な部隊を作る幹部」になるために行われています。目的がはっきりしており、それを皆が認識しているからこそ日々の生活に真剣に向き合うことができます。卒業後幹部自衛官になったとき、精強な部隊を作るために今なにをすべきかと考えると10か月という期間がいかに短いか、感じることと思います。
 またここではオン・オフの切り替えも大事になります。やるべき時に十分なパフォーマンスを発揮するためにも、休む時には全力で休み、遊びます。ここ幹部候補生学校の食事は私が今まで行った駐屯地の中でもダントツでおいしいです。外食の必要性を疑うレベルです。また、給料も増えます。防大時代は常に預金残高10万円以下の私でしたが、今ではその10倍はあります。どんなに辛いことがあった日でも、休む時はしっかり休み、おいしいご飯を食べ、湯船に浸かり、通帳を眺めれば乗り越えられます。

 2つ目は学生のうちにやっておいたほうがいいことです。私は「挑戦すること」、「初心を忘れないこと」の2点を挙げます。
 「挑戦」~挑め果敢に~ 成長はいつも、厳しい状況を乗り越えた先にあるものです。尻込みしてしまうような厳しい状況にもあえて勇気をもって飛び込んでください。防衛大学校にも数々の挑戦できる機会が用意されています。それは、校友会、海外派遣、サンドハースト、日常生活における些細な場面でも構いません。日々の生活で自らの正義感に則り一歩踏み出し、挑戦するための勇気を培ってください。それが部隊の先頭に立ち、厳しい状況にも積極的に挑む幹部自衛官へと繋がり、ゆくゆくは精強な自衛隊へと繋がるのです。
 また、幹部候補生学校では日々の生活に忙殺され、視野が狭まり、自らの使命感を見失うことがあるかもしれません。そんな時こそ自らの初心に立ち返ってみてください。なぜ自衛官になろうと思ったのか、ここで何がしたいのか、何を為したいのか。防衛大学校でも上級生になるにつれ、その熱い思いを忘れ、目的意識を失ってしまいがちです。それを思い出せば今すべきことが自ずと見えてくるはずです。その思いがあったからこそ、1年生の地獄の1年間や、カッター期間を乗り越えることができたはずです。

 最後に、入校にあたり不安があるのは当たり前です。しかし物事は始まる前が一番思い悩み、始まってしまえばなんとかなるものです。今の防衛大学校での生活を全力で楽しんでください。先に部隊で待っています。

(2021.10.12)

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