防衛大学校第68期期生会設立総会
2021.03.10
第68期期生会として、総員459名(うち女子57名、留学生17名)の中から、期生会長に第131小隊佐藤総太郎貴久学生が選挙により選出され、2021年3月10日(水)、防衛大学校において設立総会が開かれました。コロナ禍の中、感染対策に万全を期し、同窓会から畑中裕生副会長が出席し祝辞を述べるとともに、期生会長に助成金を手渡しました。
総会に先立ち、畑中副会長は、國分良成学校長、斎藤和重副校長、香月智副校長、梶原直樹幹事、保科訓練部長及び北川小原台事務局長と懇談しました。学生の近況から50年後ここから見える景色はどうなっているのかなど様々な話題で盛り上がりました。学生の考え方、学生との接し方、授業でのスマホの活用、昔とは違うコミュニティの作り方、やり方など、まさに今からは彼ら彼女らの時代だということを感じる話題で多いに盛り上がりました。
設立総会は記念講堂において開催され、佐藤期生会長以下9名の役員紹介に引き続き、期生会長の所信表明が行われました。
期生会長は、コロナ禍と防衛大学校への入校で生活は一変しましたが、その急激な変化の中で、柔軟に対応してきた第68期生の代表として、次のように所信を述べました。
「皆さんは釣り鐘の音を聞いたことがありますか。」釣り鐘を叩くとその内部では様々な音がいろんな方向から反響し合い重なり合いますが、外に出てくる音は澄み切った一つの音になります。組織内での激しい論争や意見も最後には一つの方向にまとまった一つの音になる釣り鐘のような理想的な組織に期生会をしたいと思います。また、その音が第68期の誇りとなれるよう釣り鐘を守る鐘楼のような期生会長になる所存です。」
今回は新しい企画で、第68期生のこの一年間の出来事を写真のスライドで綴った紹介映像を放映しました。同期で乗り越えてきた一年を振り返ることにより、期生会の一員であることを認識出来たものと思います。
國分学校長は、祝辞において次のように述べられました。
「防衛大では一般大とは比べものにならないくらいの厳しい生活を送ってきたと思います。釣り鐘の話を使わせてもらうと、コロナ禍も加わり釣り鐘の中では、いろんな音が響き渡り、外からも声や音が響いていました。そういう状況で皆さんはよく耐えて頑張ってきました。その努力に学校を代表して、お礼を言いたいと思います。
第68期生は普段よりも多くの試練を受けたと思います。その中で君たちは残る決心をした。防大生の多くの人は悩む。どんなに偉くなった人でも『防衛大を辞めたいと思ったことがある。悩んだことがある。』と言います。ある卒業生はこんなことを言っていました。『防衛大はすごい大学なんです。防衛大は必ず一度は辞めることを考える大学なんです。必ず自分自身に問うものなんです。その試練を乗り越えた者が卒業生です。そういう学校はありますか。自分は目立たない学生でしたが、ずっとそう思っています。』防大はそんな学校です。
諸君らはそれぞれ個性がある。一人一人の個性を大事にしてほしい。防衛大のすごさはその個性を磨けるところです。釣り鐘の話を応用すれば、自分がどういう味を出すか。自分がどんな味を提供出来るか。それぞれの味を出し合って全体として美味しい味を作り上げる。ちゃんこやブイヤベースも混ざり合った方が美味しいものになるでしょう。自分の味はどこに、個性はどこに、得意技はどこに、それを考えてほしい。これだけ多くの同期がいると人は比較してしまう。皆との比較の中で自分はどうして駄目なんだと思ってしまう。アイツはすごいと思う。みんなそうなんです。僕もそうでした。そういう中でいい味を出してほしい。与えられた時間をいい味を出すために個性を磨いてほしい。試練を乗り越えてほしい。1年生は受け身でしたが、これからは、主体的に役割を考え、動き出してください。そのためには知識と教養を蓄えることです。適切な判断が出来るようになるためです。更に、国際性を身につける手段として英語は必須です。身につければ、得することばかりでしょう。
そして、同期がお互いに切磋琢磨の中で自分の個性を磨き磨かれライバルとして仲間となることです。いい仲間を作ってください。」
引き続き畑中副会長が、祝辞において次のように述べられました。
「第68期生の皆さんはコロナ禍を乗り切り淘汰され生き延びた精鋭と学校長からお聞きしました。最強の期と言えるでしょう。ただ、皆さんの中には同期と言ってもピンと来ない人もいると思いますが、私も実はそうだったのです。当時、こうした設立総会をやった記憶もなく、それは、いつも同期と24時間4年間一緒で学生生活に忙殺されていたからではないかと思います。教務や生活のこと、校友会のことで悩んだ時、国際問題、防衛問題、将来のことで考えた時、いつも、うざいうるさいくらい常に一緒でした。しかし、卒業して部隊に行くと一変します。悩みがあっても同期はほとんど傍にいなくなります。その時に改めて同期の大切さを実感します。
部隊での業務の中には、部隊間の調整というものがあります。電話だけでは、相手が誰でどんな人かも分からず、なかなか調整がうまくいかないこともしばしばありました。しかし、相手が何かの話で同期生と分かると『おい。おまえ。』の感覚で、スムーズに仕事が進むことは一度だけのことではなかったと記憶しています。同期というのはそうしたものです。同期は心の集まりです。それを束ねる集まりが同期生会です。魂と魂がぶつかり合い、せめぎ合い、助け合う団結のある同期を築いてほしい。」
設立総会の最後は、学生歌を斉唱して締めくくり、今回の母校支援を終了することが出来ました。