新副校長に聞く
2020.11.25
「副校長に着任して」
防衛大学校副校長 (企画・管理担当)
齋藤 和重
令和2年8月5日付で防衛大学校副校長(企画・管理担当)を拝命しました、齋藤と申します。岩﨑茂会長をはじめ、防衛大学校同窓会の皆様におかれましては、日頃よりご理解・ご協力を賜り、また、校友会をはじめ学生活動や各行事において多大なるご支援をいただき、この場をお借りし厚く御礼申し上げます。
防衛大学校副校長(企画・管理担当))は、平成17(2005)年8月に石井道夫元防衛研究所長が初代として着任され、私で11代目となりました。入庁してから約30年間、防衛省職員として勤務し、他省庁への出向も含め多種多様な業務に従事して参りましたが、防衛大学校での勤務は初めてのことであり、将来幹部自衛官となる者の育成に携わるということで身が引き締まる思いです。國分学校長が示されている「すべては学生のために」という業務遂行における基本理念のもと、副校長として学校長を支え、主として予算や施設整備などの行政事務を統括し、校務全般の円滑な運営のための環境整備という面から、「世界一の士官候補生学校」の実現に向けて、微力ながら精一杯努力をして参りたいと考えておりますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
さて、世界一の士官候補生学校を目指す、あるいは、もっと平板な言い方としては防衛大学校の更なるステイタスの向上と一口に言っても、このような大いなる目標を達成することは到底一朝一夕でできるものではなく、また、即効性のある施策も見当たらないものではないでしょうか。大きな目標の実現のためには、日々の努力とその積み重ねがあり、こうした営為が後で気づけば、新しい伝統になっている、そういうものだと私は考えております。当職としては防衛大学校のこれまで培われてきた歴史と伝統を十分尊重しつつも、そうした歴史と伝統の重みがともすれば前例踏襲主義、思考停止の言い訳とならないよう十分注意を払いつつ業務を進めていきたいと自戒しております。この点、さきほど私は防大勤務が初めてと申し上げましたが、このような立場であるが故に、同僚やスタッフから「もう少し防大の歴史と伝統を尊重して下さい」と苦情を言われるぐらいでちょうど良いのではないかと考えています。
他方、世の中に目を向けますと、IT技術を中心に急速な技術革新が起きており、業務や生活様式にも変化を及ぼしております。また、ライフスタイルの変化や世代間の意識の変化も大きくなっていると感じます。このような大きな社会の変化の中、大学教育の在り方についても様々な議論がなされていると承知しております。このような流れの中で、現在、学内では防衛大学校創立100周年を見据え、学校長を筆頭に「さらなる高みプロジェクト」が進行中です。平成25年に開始された、多様化・国際化する任務に対応できる人材の育成、防衛大学校の地位向上を目標とした「新たな高みプロジェクト」から、さらにパワーアップしたより質の高い人材育成・教育訓練の充実を目標として、活発な議論がなされています。内容は多岐にわたり、教官をはじめ教職員の間で様々な検討がされており、その中で浮上する課題を解決していくには、教官・自衛官・事務官そして学生が互いに協力し合わなければ解決は困難であると考えます。このプロジェクトにおける目標を達成し防衛大学校を次の段階へ進化させるため、國分学校長のご指導のもと事務部門の責任者である副校長(企)として、校内はもとより本省等と調整して参りたいと考えております。
ところで、世界中で感染が拡大し未曾有の事態となっている新型コロナウイルス感染症について、本校もいろいろな面で多大な影響を被っております。コロナ感染症が流行し始め、3密を伴う様々な行事や訓練・競技会の実施に影響があり、感染拡大防止のため中止、日程変更や参集者の制限などを余儀なくされている次第です。この点同窓会の皆様方にはご迷惑、ご心配をおかけしており、この場を借りてお詫び申し上げます。校内では「新しい生活様式」の徹底に務めており、窓口業務がある部署については飛沫防止シートを設置するなど、様々な対策を講じております。学生は集団生活をして一斉行動を旨としているため、スペースを確保するなどのやり繰りや発熱症状のある学生の取り扱いなど、苦慮した面もありますが、教職員・学生の努力の結果、幸いにも未だ校内での感染者は一人も出ておりません。まだまだ油断のできない状況が続くと見込まれますが、今後も気を抜かず感染対策を継続するとともに、入試シーズンも控え、更に徹底に努めて参りたいと考えております。
なお、ともすれば湿っぽい話が多い中で平常化したものもあります。当初4月に受け入れ予定であった海外留学生が予定通りに渡日できない状況が続いておりましたが、こちらについては、9月に国費で学費等を支給する外国人留学生の入国については規制が緩和され、無事に順次受け入れを再開することとなりました。留学生が母国で待機中の期間中は、担当教員からオンラインで日本語教育を行ってもらうなどの労をとってもらったことを付言しておきます。
最後になりますが、将来、国防の中心となって活躍していく防衛大学校学生の育成に携わる機会を得ましたことを大変光栄に思います。防衛大学校のさらなる発展のため、今後もお力添えいただくことが多々あると思いますので、変わらぬご理解・ご支援をいただけますと幸いです。学生をはじめ自衛官・教官が十分に訓練・教育・研究に打ち込める環境づくりをし、卒業していく学生が将来誇りと思えるような防衛大学校を作り上げるため精一杯努力していきますので、防衛大学校同窓会の皆様におかれましては、改めてご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。