防衛大学校関連

新副校長に聞く

2019.03.19

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  防衛大学校副校長 tusji-na1.jpg
  (企画・管理担当)

 杉本正彦会長はじめ防衛大学校同窓会の皆様におかれましては、平素から防衛大学校に対して物心両面から多大なご理解、ご協力をたまわり、わけても校友会活動をはじめとする学生活動に対して一方ならぬご支援を頂き、長年に亘り防衛大学校における学生の教育訓練の充実に絶え間ないご貢献を果たしてこられたことに対し、深く敬意を表し、この場をお借りして改めて厚く御礼を申し上げます。
 近年、防衛大学校は、國分良成学校長の強力なリーダーシップの下、防衛大学校の新たな高みに向けて飛躍を追求した数々のプロジェクトに取り組み、学校長のご指導、教職員・学生の精力的な努力と協力、防衛本省のご理解、同窓会はじめ関係団体・機関の皆様のご支援等を得て、着々と成果を挙げ今日に至っております。
 「すべては学生のために」。これが國分学校長が示されている防衛大学校における業務遂行の基本理念であり、私どもは常々この言葉を服膺し、絶えず防衛大学校の基本的使命に思いを致し、防衛大学校の主役である学生の成長を助け促すという原点を忘れず日々職務に当たっているところです。
 しかしながら、毎日毎夜の学業、訓練、校友会活動そして学生舎生活と多忙かつ拘束の大きい日常生活を送る学生達にとっては、心身ともに充実し安心して防大生活に打ち込み、その能力を最大限に発揮するためには、防大教職員の指導やご家族のご支援のみならず、過去に楽しくも辛くある4年間の防大生活を過ごされた上で、今や現役幹部あるいはOB・OGとして立派にご活躍されている防衛大学校同窓会の多くの先輩方の存在とご声援が何よりも励ましとなり、自信を与え、また目標となっていることでありましょう。
 学生の成長と大成に向けて、私ども教職員は時には厳しく愛情を込めた叱咤の声を飛ばすこともありますが、他方で、かつての試練を克服して防大生としての苦労を肌で知り、汗と涙を分かち合う同窓会の皆様方が温かく見守り、心の支えとなっていただくことによってはじめて、使命感旺盛な心身ともに壮健な防大生の育成が実現されてきていることはこれまでの長い歴史が証明しております。
 私どもとしては、今後とも、同窓会の皆様と互いに手を取り合って、真に頼もしい幹部自衛官要員を育成するため、精一杯取り組んでまいる所存です。
 さて、昭和32(1957)年に第1期生が本校を巣立って以来、これまでに第62期生までが本校を後にし、本年3月には第63期生が卒業を迎えて幹部自衛官としての道を進み始め、同時に同窓会の皆様の仲間入りをします。
 単純に計算しますと彼らの大半が誇りに満ちた自衛官としての使命を全うし尽くすであろう2050年代半ばごろには、防大はすでに創立百周年を迎えて第100期生が在籍しており、追って間もなく防大同窓会も創立百周年を迎えようとしている状況でありましょう。
 その時代の世界が、また日本がどのような姿になっているのか、我が国の防衛や国際安全保障環境が如何なる様相を呈しているのか、今の段階では予測も想像も困難ですが、ただ確実に言えることは、その時代、すなわち三十数年後の国と国民を取り巻く姿かたちは、今まさにこれから防大を巣立ち、国・国民の平和と安全のため、防大時代に築いた強固にして不朽の基盤を土台に果敢に防衛の務めに取り組み、三十数年間にわたり全智全能を傾けてその持つエネルギーを燃焼し尽くしたであろう四百数十名の第63期防大卒業生の渾身の努力の結果としてもたらされる、ということです。
 同じ時間幅で過去を振り返ると、三十数年前、当時冷戦のさなかであった昭和末期から今日に至るまでの間、国際情勢、防衛省・自衛隊を取り巻く国際安全保障環境は激変しましたが、幸いにも、我が国自身は概ね平和のうちに推移し、経済・財政・社会情勢においては様々な難題を抱えつつも、国民は戦火に巻き込まれることなく静かに平成の終幕を迎えようとしています。この背景には、国家・国民のさまざまな努力があることは言うを俟ちませんが、その一端には防衛省・自衛隊の各般の施策とともにそれを支えた歴代二万数千名に上る防大卒業生の皆さんの血のにじむような献身的な努力があることはいうまでもありません。
 同窓会の皆様方は、それぞれ永きにわたって身をもって防衛の務めを完遂され、あるいはまさに今この時に当たって緊張に満ちた任務遂行のさなかにあって、後に続く防大卒業生、在校生に対して立派な範を示され、幹部自衛官を志す若者にとって確かなよすがを与え、その決意を確固たるものにして頂いております。これからの三十数年間に如何なる事態が起きようとも、新卒業生は、未来の安全保障を任せるに足る防人達のリーダーとして、この防大で身につけた使命感と知力、体力、統率力、そしてそれらに裏打ちされた広い視野、科学的思考力及び豊かな人間性を立派に実践、発揮し、これから起こる変化に機敏に適応し、危機に立ち向かい、国の平和、国民の安全・安心のため全力で奮闘努力し、そして、頼もしくその務めを完遂してくれることでありましょう。
 長年にわたり皆様から賜りました無数のご薫陶を無にせず、国家・国民の輿望を担って波逆まく荒海に新たな船出をしようとする彼ら彼女らを、私ども教職員としては引き続き同窓会の皆様と相携えながら、力の限り応援していきたいと思っております。
 そして、望むらくは平和のうちに、いつの日か防大・防大同窓会創立百周年を彼ら彼女らとともに祝うべきときを穏やかに迎えたいと切に願うものです。

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