第61期生に聞く(その1)
2018.01.18
陸上自衛隊幹部候補生学校
第4候補生隊第5区隊
幹部候補生 陸曹長 二村 圭
現在、陸上自衛隊幹部候補生学校第98期一般幹部候補生(BU)課程に入校中の防衛大学校本科第61期
卒業生、二村候補生です。
私たちは心の故郷、前川原の地に足を踏み入れた3月29日から早くも半年が過ぎました。様々な失敗を繰
り返しながら、激動の日々の中、訓練や各種検定を通して同期との団結を深め、一人では決して乗り越えるこ
との出来ない困難を乗り越えてきました。幹部候補生学校と防衛大学校との違いは、上級生や下級生という関
係ではなく、同期で同じ目標に向かう中で励まし、助け合い、時には衝突をしながら切磋琢磨していくこと
で、同期との絆がよりいっそう深まる事です。特に訓練においては、50km行進や総合訓練といった自身の
限界に挑戦する訓練や、高良山走検定や藤山武装障害走検定における競技会において区隊優勝に向けて厳しい
練成を行う等、一つの目標に向かって力を合わせることで同期との絆がよりいっそう深まります。また、各係
業務や小隊長等の三役勤務では各人が自分の職務の責任を果たすことで初めて区隊の目標が達成できる事を理
解し、それに向かって区隊員が一丸となって努力を行い、目標を達成することで団結することができます。
こうした幹部候補生学校での訓練や教育を受けることで得た、自分なりの理想の指揮官を述べさせていただ
きます。防衛大学校を卒業した際には、まだ具体的な小隊長の理想像ははっきりとしていませんでした。しか
し、各係業務や三役勤務等の日々の修学に取り組んでいくうちに、自ら設定した目標に取り組み、背中で見せ
て率先垂範していくことが大切だと感じました。良い意味で周りを巻き込んで区隊を同じ方向に向かせること
で、団結が深まり任務を完遂できると感じました。部隊が任務を完遂するためには、上司・同僚や部下が相互
に心から信頼しあえる部隊を作っていくことが重要であり、そうした部隊を育成できる人が理想の指揮官であ
ると考えます。こうした部隊を作っていくには、各人が日々の生活において自分のために動くのではなく、部
隊の任務完遂のために自分がどのように寄与できるのか、それに向かい仲間と団結・協力してどのように取り
組んでいくのかを考えることが必要です。理想の指揮官になるためには、確固たる意志と情熱をもって、隊員
と苦楽を共にして部隊の団結を深めることが重要だと考えます。団結を深める上で、その核心となり部隊を率
いていくのは指揮官であり、全ての人格をもって良好な統御のもと指揮をしていかなければなりません。その
ためには、指揮官として与えられた任務は必ずやり遂げるという情熱を持ち、様々な困難を乗り越える中で仲
間の信頼関係を高め合い、隊員を同じ方向へと向かせることが重要です。将来の私たちが指揮官として部隊を
指揮する上で、上司・同僚や部下が相互に心から信頼しあえる部隊作っていくことが重要であり、そうした部
隊を育成できる人が理想の指揮官であると考えます。
最後に、幹部候補生学校には訓練や日々の業務を通して指揮官としての資質や識能を成長できる環境が整っ
ています。しかし、これを生かすには自ら考えて行動することが欠かせません。防衛大学校において自主的に
動いて失敗を恐れず、競技会、校友会、勤務等に積極的に取り組むことが幹部候補生学校で成長することに繋
がります。幹部候補生学校での修学も残りわずかの期間となりましたが、今後の総合訓練では区隊員全員で団
結して任務を完遂し、また、部隊赴任では失敗することを恐れずに、謙虚に積極性をもって取り組むことで、
理想の指揮官となれるように精進していきたいと思います。