第59期生に聞く(その2)
2015.10.02
題名:「幹部としての矜持」
陸上自衛隊幹部候補生学校
第96期一般幹部候補生BU課程
候補生 恩地 経生(おんじ みきお)
現在、陸上自衛隊幹部候補生学校・第96期一般幹部候補生BU課程に入校中の防衛大学校本科第59期卒業生、恩地候補生です。
私たち第59期が平成27年3月末に防衛大学校を卒業し、幹部候補生学校・前川原駐屯地の地へ赴任し、早くも半年が過ぎました。幹部候補生学校では、約34週にわたり、陸上自衛隊の初級幹部としての職務を遂行するに必要な知識及び技能を修得させるための教育訓練を行っています。BU課程における教育訓練においては、幹部としてバランスのとれた伸展性ある資質を涵養するとともに、「指揮の要訣」の具現化を図り、初級幹部として必要な基礎的知識及び技能の修得を目標としています。幹部候補生学校において私たち59期卒業生は、「質実剛健にして清廉高潔」の校風のもと、幹部としての資質を涵養するため、日常起居を含め、あらゆる行事等に全力で取り組みながら、充実した日々を過ごしています。
今回、「小原台だより」へ寄稿するにあたり、以下の2点を記します。1点目は「幹部としての矜恃を持つ」という点、2点目は「同期は宝」ということです。
幹部候補生学校での生活では、自ら進んで実践陶冶することが求められ、常に物事に対して疑問を持ち、本質を見極め、積極的に行動しなくてはなりません。確かに幹候校の生活は防大と比べて、自由な時間は限られています。しかし、その中において、「幹部としての視点」を持って、「幹部としての矜恃」すなわちプライドを持つ必要があります。それは決して、誰から教わるものでもなく、自ら考え、実践し、感じ取るものです。将来部下の前で、辛い表情を見せないような我慢強さや、的確な指示を与えて部隊を指揮するリーダーシップなどは実践あってこそ身につくものです。それは防大でも同じではないでしょうか。上級生は下級生の前では、見栄を張ってでもやせ我慢して、弱い姿を見せないようにしなくてはなりません。上級生が強い責任感を持ち、模範となり、下級生を指導し、学生舎及び校友会において、その運営の核を担うことでリーダーシップを発揮することができます。それこそが将来、「幹部らしい幹部」となるために必要な資質でもあります。
防大でも、同期を大切に、といった言葉はよく耳にすると思います。防大の校友会活動や学生舎生活で築いた同期との絆はかけがえのないものです。幹候校においても、困ったとき、辛いとき、悩んでいるときに助けてくれたり、励ましてくれたりするのは同期です。一人では成し遂げられないようなことも、同期と共に支えあい協力することで乗り越えていくことができます。ただ単に自分のためだけに、自分のことだけをやることは、楽なのかもしれません。しかしながら、それでは周りからの信頼を得ることが難しく、いざというときに誰も助けてくれないでしょう。陸・海・空の要員が同じ環境で生活している防大生活で、信頼する同期との絆を大切にし、自分を犠牲にしてでも同期のために奮闘することで、その絆はより強固なものとなることでしょう。また、きっとその絆は将来、幹部となったときに自分自身を助けてくれるはずです。
防大生活は過ごし方次第で大きく変わります。ただ何となく毎日を同じように過ごしていては何の変化もありません。常に明確な目標を立て、卒業時の理想像をイメージし、その理想に近づけるよう、同期と切磋琢磨しながら生活することで成長することができます。私自身、幹候校での生活を通して、どれだけ防大生活で時間があったかを自覚し、もっと時間を有効的に使えばよかったと後悔しています。今のうちから自分が目指す理想の幹部像を考えながら、同期を大切にして、限られた時間を少しでも無駄にすることがないように、一日一日を全力で過ごし、有意義な防大生活を過ごしてください。