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お知らせ

(海)川﨑貴剛君投稿記事~「裁判員裁判に参加して」~

2024.09.25

(海)川﨑貴剛君(応用化学12班、第1大隊)は佐世保の出身で、中学生のころから自衛艦を見に行く機会に恵まれ、将来の艦長を目指して防大に入校。防大入校後は念願の海上要員となり応用化学を専攻しました。

海上自衛隊では、掃海艇艇長・掃海隊司令を歴任、勤務地は北は大湊から南は佐世保に至るすべての海上自衛隊の基地に勤務しました。また寄港した港は北は稚内、南は沖縄・硫黄島まで数知れずと。

定年後は、東京海上(現 東京海上日動)で約10年間、人身事故の賠償業務を担当し、現在は、俳句・太極拳・囲碁・麻雀等の多くの趣味を楽しみながら、70歳すぎから「大網お助け隊」の会員として、地域の高齢者の送迎支援(病院や商店等)に当たっています。

俳句は古希のころに始め、地元の句会に参加。同期の親友である森田光彦君(故人、海上)と10年ほど前から時々俳句の交換をしていたところ、同君から北斗句会への入会を強く勧められたこともあり令和5年に入会しました。その直後森田君は他界し、川﨑君は北斗句会で「行く春や友の訃報に驚愕す」の一句を詠んでいます。

令和6年の東部支部総会・懇親会時に自身の裁判員に選任された体験をもとに「裁判員裁判に参加して」と題し講話をし、多くの会員に参考になるものでした。ホームページで再度紹介することにします。

以下の写真は懇親会時とお孫さんの結婚式時の川﨑君です。

懇親会時講話.png 川崎君と花夫人.png


「裁判員裁判に参加して」

                          (海)川﨑貴剛 

1 概要

裁判員制度は、国民の中から選ばれた6人の裁判員が刑事裁判に参加し、3人の裁判官とともに、被告人が有罪かどうか、有罪の場合はどのような刑にするのかを決める制度です。このために実施される会議を「評議」といいます。資料によると、この制度は2009年5月にスタートし、2024年2月末で約12万4千人の方が裁判員及び補充裁判員として裁判に参加しています。なお、これらの人に選ばれるのは約17,700人に1人とのことです。

2 選任手続

  選挙人名簿に登録された方から無作為に選ばれますが、私の場合は、昨年11月に「最高裁判所」から候補者としての通知が届きました。最高裁からの書類で驚きましたが、中身は千葉地裁からの分かりやすい説明で安心しました。70歳以上や法律上の辞退事由のある人は、候補者を辞退することも出来るとのことでしたが、もし選任されたら稀有で貴重な経験になると思い、辞退手続きはしませんでした。そして今年3月下旬に、5月上旬に裁判員の選任手続きがあるとの通知が届き参加しました。参加者の中から厳正な抽選の結果、6人の裁判員(他に補充裁判員2名)の中の1人に選ばれ、5/13 から5/21の間の5日間裁判に参加しました。

3 感想

  裁判員裁判に参加したことはとても貴重な経験になり、裁判への関心が深まることとなりました。特に、評議では裁判長の見事な司会により、参加者が自由に自己の意見を述べ合い、私とは違った発言もあり、いろんな見方があることを認識しました。そして最終段階では、判決の量刑を投票させてもらい、裁判官に近い権限が与えられていることに強い責任感を感じました。また、法廷では被告人に直接質問する機会が与えられ、裁判に参加しているという実感が湧きました。

  最後に、俳句を趣味としている関係から、駄句で締めます。

          「八十路過ぎの裁判員や風薫る」

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