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お知らせ

シルスキー将軍の指揮するウクライナ軍の反攻作戦

2023.11.20

                           中口廣之、久保田穣一、金塚行雄、藤本晶士

はじめに

 2022年2月、ウクライナ領に侵攻したロシア軍は、キーウ・ハルキュウの占領に失敗し、ドニエプル東岸のウクライナ領の要域確保に作戦目標を修正し、強固な防御陣地を構築した。

これに対し、ウクライナ軍はキーウ・ハルキュウの奪回に成功し、ついで反攻作戦を準備し、2023年6月以降に反攻作戦を開始した。

 この反攻作戦における陸上の作戦は、ウクライナ軍の陸軍司令官シルスキー将軍が北部・東部・東南部・南部の各戦線の司令官を指揮し、反攻作戦の計画・実行をしている(AI Bing)。

 以下、概略2023年末までの同将軍のウクライナ陸軍の部隊運用を中心に、「ウクライナ作戦は成功するか」の続稿として、A I Bing・Bard等を利用して、南部及び東南部等の作戦経過等の概要及び実相を記述する。尚、部隊の名称、部隊番号等は情報等の資料に基づき記載していることをお断りする。

 尚、もう一つの本稿の狙いは、これから本格的に多用化されるAIの一般的な活用範囲、限度等の確認及び把握を目的としている。

1.反攻作戦の背景

(1)ロシア軍の戦略等と兵力と陣地の概要(規模・強度・種類等)

ロシア軍は、ロシア系住民の多いドンパス地方の完全占領を重視してドニエプル東岸に戦線を移し、ウクライナ軍との長期戦に備えて、①重層的な防御、②機動的防御の重視、③ゲリラ戦の活用をドクトリンとしていると推察する(ロシア軍事計算史-現代ロシア軍の戦略戦術の理解のための基礎書)

・作戦開始時の推定兵力 (AI bard 、諸説あり)   

  東南部(ドネッツ州等)        12個師団 (約7万人) 

  南部(サボリージャ州、ヘルソン州)  6個師団 (約3万人)   

  南部(ヘルソン州)           2個師団 (約1万人)

                 注 平時編制の5000~6000人/師団

・重層的な防御

 ロシア軍が約1年近く構築した防衛線はスロビキンラインと総称され、平地のウクライナ南部正面は縦深にわたる重層な陣地線を構築し、丘陵地の東南部等正面は比較的単層の陣地線を構築した。陣地線は約800kmと報じられたが正確には、約250km(AI Bard)、縦深約20~100km、配備兵力10万人~18万人と推定される陣地で、これを補強するため超密度の地雷等を敷設した3線の陣地線である。

 地雷原は第1線に60%、第2、3線に各20%位の配分で敷設され、1平方メートルあたり5個位埋設されている(BBC 9/29)。しかし、あまりにも広正面の陣地線と観察される。

 スロビキンラインの1平方キロメートルあたりのロシア軍の兵力密度は約24~36人(正面250km、縦深20km)、兵力を25万人とすれば50人となるが、BBC は4月のロシア軍は約40万人と報じた(BBC 4/28)

  第二次大戦のレニングラード防衛線の密度は50人、スターリングラードも50人(AI Bard )である(兵力密度とは1平方キロメートルあたりの兵力数、旧日本軍は兵力密度と同概念の兵力対比で所要兵力を算定していた(AI bard))。

 この防衛線はスロビキン将軍が独自に急ぎ構築したもので、防御戦闘や部隊運用上の戦術的検討が不十分で、防衛線の陣地配置図を見る限り、特に南部の陣地は要域を確保する防御陣地と地雷原及び塹壕を連接したもので、防御線は複雑なため部隊の配備は難しく、且つ所かまわずの地雷原は、陣内の機動を困難等にする等の欠点があると予見できる(AI bard)。また、概して東南部は線防衛で陣内機動はかなり余裕があるが、南部は面防衛で陣内機動は極めて難しいと概観する。

・機動的な防御の重視

 敵の進出に応じた防衛線を迅速に移動させて阻止する。反撃を自重する場合もあるが、反撃は、①敵の攻撃を防ぎつつ反撃部隊を集結させ、敵の後方を反撃する、②敵の攻撃を誘導して敵を包囲する、③敵の攻撃をかわし、反撃部隊で攻撃するとしている(スロビキンラインにおいて、陣内外の反撃、逆襲は当然の戦術である)

・ゲリラ戦の活用(略)

(2) ウクライナ軍の戦略、兵力・配置状況

 シルスキー将軍のロシア軍陣地への攻勢戦略等は、極言すれば、コサックの戦法(機動、奇襲・小部隊運用・独立行動等)に沿ったものと考えられ(前稿、AI bard)ウクライナ軍は後退する敗残のロシア軍を追尾してドニエプル東岸地域に撃擾するとともに西側諸国の軍事支援を受け6~12コ旅団(5000人/旅団)を新設し、東南部を及び南部を重視する攻勢作戦を展開してロシア軍を撃擾する(AI bard)。

 このため、第一段作戦として、まず当面のロシア軍陣地を突破して瓦解を図るとともに後方連絡線を遮断、第2段作戦においては戦果を拡張してロシア軍を分断し、南部及び東南部のロシア軍を各個に撃擾する構想であったと推察する。

  注、この構想と推測される根拠については、当時の政府及び軍の高官の発言を集約すれば、兵力劣勢のため、一挙撃破困難、一部から全部 の奪回と、撃擾、南部から東南部へ等の各個撃破構想が読み取れる(AI bard)。

 作戦開始時の正面別の兵力 (AI bard、諸説あり)

    東南部(ドネッツ州等)   20コ旅団(約10万人)、

     南部 (サボリージャ州等) 10コ旅団(約5万人)

     南部(ヘルソン州)     4コ旅団(約2万)

(3)両軍の予想戦況推移 

   予測の前提等

①兵力対比をランチェスタ-2次式で計算し戦況を概略予測する。

②両軍の戦術行動と装備

  ウクライナ軍は攻撃・近代装備、ロシア軍は強固な陣地防御・旧式装備

③ロシア軍は、ウクライナ軍の主攻を東南部と判断して部隊配備(AI bard)をするとともに南部の劣勢を超密度の地雷原、障害物、塹壕で補完した。

④ウクライナ軍は新設の機械化旅団を南部(平地帯)に投入予定とした。

⑤各正面の推定兵力対比 

       東南部(ドネッツ州)     ウ軍10万:ロ軍7万 (10:7) 

       南部 (サボリージャ州等)  ウ軍5万:ロ軍3万 ( 5:3 ) 注 ウ軍の新設旅団を含まず

       南部 (ヘルソン州)     ウ軍2万:ロ軍1万 ( 2:1 )      

兵力対比によるウクライナ軍の攻勢作戦の白紙的予測(AI bard計算)

 ①東南部(ドネッツ州)は戦力比からみてウクライナ軍の進撃の可能性はあるが勝率60%で攻勢はかなり難しく適切な戦術対策 が必要であ る

 ②南部(サボリージャ州等)は、当初のウクライナ軍の進撃は損害も多く勝率43%で阻止撃退される可能性が高い。新たに6万の 兵力を投入すればウクライナ軍が勝利する可能性が高くなる。

南部(ヘルソン州)はウクライナ軍の勝率は80%で、当面の敵を撃破しての進撃は可能である。

                     注1  兵力対比により勝率及び戦況は変化する。

2.ロシア軍前哨地帯における作戦経過

 6月中旬以降、ウクライナ軍の一部は南部及び東南部等の全線にわたり小規模の攻撃を仕掛け、陣地間の間隙、弱点或いは主陣地帯の突破口の偵察等とともにロシア軍の戦意の威力偵察を試みた(読売 6/24)。ところが、その戦闘においてウクライナ軍に次のような問題点が発生した。

 例えば、南部サボリージャ州のロシア軍の地雷原・陣地の強行突破においてレオパルド戦車数両、ブラッドレイ歩兵戦闘車10数両、レオパルド工兵車(地雷処理、壕掘削)3両を短時間に失った。また、地雷原の突破が反攻作戦の鍵になると認識された(FORBES 6/24)

これらの作戦から、①突破の苦戦(戦車等の損耗大)、②兵力不足③地雷原等のため機動力が発揮困難(読売614)、④進撃速度が遅い等が反省された(日経 6/20)。この原因は、数ヵ月間も南部等の前線に動きがなかったためロシア軍が腰を据えて準備したためであつた。

 ゼレンスキーはNATO加盟国をおとずれ、戦車等の軍事支援とともに長距離兵器がなければ攻撃はおろか防衛作戦の実施も困難と訴えた(読売7/8) 

 戦争研究所(ISW)の見解も同様であった。

 ①大規模の地雷原のため進撃が出来ない。 ②ロシアの防衛線がしかれ、ウクライナ軍の突破のため地雷原・塹壕の処理が難航している。 ③7/4日、独首相はウクライナ反転攻勢は正確で組織化され、的を絞っ作戦を計画している。 戦争が終結するとの予測していたが、長期化することを考慮しなければならなくなったと述べた(CNN 7/4)

.ロシア軍主陣地帯における作線経過

 ロシア軍は、ウクライナ軍の反転攻勢の準備が整うまでの12ヵ月上の時間を得たことにより、特にサボリージャ州正面においては、縦深(塹壕等)が3層にわたる超強固な陣地を構築した(読売6/14)。その持久力は半永久的と予想され、更にロシア軍は戦闘要領を改め死守を命じていた/(米シンクタンク6/7)。

 東部ドネック州等正面の陣地も、概ね同等の構造等で構築されていると見られているが、南部と比較すると陣地に縦深性がない単層の陣地線と観察する。

 6月中旬以降、ウライナ軍は、東南部正面のドネック州のバムフト、南部正面はサボリージャ州のメリトポリ及びヘルソン州のヘルソンへの攻撃を主軸とし、反攻作戦の第一段作戦を展開した。(日経6/10 NHK 6/20)。

南部メルトポーリ方面等のロシア軍主陣地帯における作戦は、キーウ・ハリキユウ等の対ロシア軍の経験と前哨地帯の作戦を反省する手段をとりつつ、①陣地の間隙・弱点等からの小包囲・迂回による攻撃、②夜間の正面強行突破(NHK 6/11 )による各個撃破・撃擾等を併用して占領地域の拡大を図った。

 しかし、ロシア軍の頑強な抵抗によりウクライナ軍の進撃速度が極度に遅くなったため、米国側は反攻のペースは期待を下回っていると判断した(CNN 7/2)。

7月2日、ウクライナ軍の反攻作戦が難航している戦況において、ウクライナ側から停戦交渉を年内に始めるとのニュースが報じられた。

 ウクライナ軍の大規模な反攻作戦で、南部・東南部の失われた領土を今秋までに奪還したうえで、ロシア側と停戦交渉をする計画を立てたと報じられた。奪還する領土は、南部はクリミヤを砲撃の射程内、東南部はバムフト近くまでとしたが限定的な範囲に縮小したものであった。

 この報道は、恐らくはウクライナ軍の第一段作戦にあるウクライナ回廊のメリトポリ~バムフトを結ぶ以北の地域の回復後に停戦交渉を始める企図と思われた。また、停戦交渉が間近であれば、ウクライナ側としては一寸でも多くの領土奪回を願い、ロシア側は安全な帰国を願うことになり、この戦意の違いが戦局にも大きな影響を及ぼすとも思料された。このような状況のもとに.ウクライナ軍の反攻作戦は引き続き展開された。

 ウクライナ軍の反攻作戦は、ドネック州バムフトの東南部正面においてはウクライナの全海兵旅団を集中して電撃的機動による突破作戦を期し(Forbes 8/10)、南部正面はサリージャ州のメリトポリ、ヘルソン州のヘルソン正面はNATO式の機械化旅団による攻撃を主軸としていた(産経7/16、ISW7/5、Forbes 8/10)。この作戦の狙いはメリトポリの占領と判断され、ロシア軍の政戦略の3要衝を突くシルスキー将軍の作戦といえる。①バムフトは、ドンバス地方の中心地でプーチン大統領の政治的関与が深い都市。 ウクライナの主要な工業地帯等で、奪回は反攻作戦の大きな目的である。②メリトポリはロシア軍の後方連絡線の中心となる要域。③ヘルソンは、クリミヤ半島へのアクセスの要域。

 7月当初の戦況は、東南部正面は進展しているが南部正面は停滞している戦況から、当面のシルスキー将軍の企図を探れば、プーチンも重視しているバムフトを攻略してウクライナ侵攻ロシア軍の背後を脅かし、この正面にロシア軍を吸引し(WSJ8/30)、併せて南部正面の戦況の進展も図る陽動作戦を企図しているのではないかと推察する(AI BARDでは十分可能性を認めている)。このバムフト方面の攻勢は、当面の反攻作戦全般に大きく関与する支作戦と考察され、恐らく両軍の戦局の焦点になるものと予想する。

 このため、バムフト正面に進出し作戦の指導中シルスキー将軍は、バムフト奪還を確信していると語ったと伝えられ、ウクライナ報道官もバムフトで主導権を確保してロシア軍を押し戻していると戦果を強調した(テレ朝ニュース7/9)。

 また、英国防省はロシア軍が東部ドネック州の要衝バフムトで兵力が不足しているとの分析をだしたが、ロシア軍は計10万の兵力を集中し大規模攻撃を準備している可能性があるとも報じた(共同7/18)。情報は錯綜しているが、恐らくウクライナ軍の側背攻撃を狙っていると思われた。

 反攻作戦を統括するシルスキー将軍は、18日のインタビューで、南部・東南部も当初思ったように前進していないと苦戦を認め、ロシア軍がバムフト等の東南部でも強固な陣地を構築していると指摘した(BBC放映、読売7/20)。

 以下、一段作戦のウクライナ軍の主たる攻撃軸である南部サボリージャ州正面を中心として、東南部ドネッツ州正面、南部ヘルソン正面の順に論述する。

(1)南部サボリージャ州正面

   サボリージャ州正面のウクライナ軍は、サボリージヤ市からロシア軍を撃退しサボりージヤの都市メルトーポリを解放する目標を掲げていた。この作戦についてのウクライナ軍の戦況ニュースは、最初の防衛線突破に苦戦、進展遅く犠牲が大きい等の情報が多くつたえられ、反攻作戦が予定どおり進展していないと示唆した(共同通信 7/9)。

 ゼレンスキー大統領もウクライナ軍の突破は遅々とし、進撃速度は1ヵ月余りで最大10㎞と苦戦を認めていた。更に、反攻開始から2週間で兵器の2割りを失ったことも伝えられた(読売 7/17)。

 英国国防省も、ここ数週間のロシア軍の戦術は、KA-50攻撃へリで南部のウクライナ軍装甲部隊の進撃を遅らせることを最優先としていた。ロシア軍は,対戦車地雷を多く使い、無人機攻撃でウクライナ軍装甲車を攻撃していると伝えた。特に、反撃が進まない主な理由は大規模の地雷原のためであつた(CNN7/6)。

期待された反攻作戦で、ウクライナ軍はM2ブラッドレイ、レオパルド2等の西側装備と十分な訓練をされていたにも拘わらずロシア軍の地雷原に立往生した。

このため、躊躇することなくウクライナ軍は航空劣勢下で最強レベルの地雷原と陣地のロシ軍の攻撃に対し、犠牲も多い機甲部隊の機動戦による突破の強攻を中止し、ロシア軍をを疲弊させる方針に変えた(産経 7/15)。

 この方針転換により、ウクライナ軍が採用したのは、①ウクライナ軍好みの慣れ親しんだ小部隊による歩兵を中心とした戦法であつた。それは、小隊や中隊レベルの小部隊を中心とし機械力や人力による地雷処理を確実に行い、夜間や森林等を利用して隠密裏に敵に近づきて接触し、確認した敵に対して砲迫火力を浴びせる戦法であった。

 因みにシルスキー将軍は機械科歩兵であつた。②阻止作戦は、敵軍・補給品の戦闘地域への移動阻止遅延、混乱、破壊等を目的としていた。即ち、ロシア軍の兵站組織の破壊・分断を図ることにあった(JBPRESS 8/15)。

 これらの戦法は身近に感じる戦法であることを想起する必要がある。事実、ウクライナ軍はロシア軍の補給路等を遮断し、伝統の小部隊方式による機動と奇襲を重視し各級指揮官の自主的判断のもとに戦果を累積する戦法に復帰した。この戦法はシルスキー将軍によるキーウ、ハリキユウ等の作戦の再現であつた。

 参考として、一般的な陣地攻撃の戦法としての地雷原突破、塹壕戦の戦闘要領、側面攻撃を説明する。この反攻作戦の特質は、砲兵火力とドローンの戦いと云われている。

 ・ ロシア軍は地形をうまく利用して防御線を構築し地雷原を敷設している。地雷の探知ALIS(日本製)ドローンと地雷原の啓開は工兵隊が           担当し、砲兵等の支援のもとに工兵車を先頭に戦車・歩兵戦闘車が損害覚悟で強攻突破する。(乗りもの7/8)

 ・ 塹壕戦は100年前の浸透戦術が現代的にアレンジされたもので、戦闘歩兵車で塹壕 に接近し、歩兵が突入して近接戦闘により掃討する戦法(旧日本軍の慣用戦法、FORBES 9/2、装甲車で乗りつけ歩兵が飛び込むウクライナ流塹壕戦の戦い方)。

 ・側面攻撃は、弱点攻撃の手段としてシルスキー将軍の持論を慣用戦法としているらしい(AI BARD、ウクライナ軍の戦術的常識)

 ・その他、東部戦線では歩兵戦闘車と戦車が協同、南部戦線では歩兵戦闘車とト ラックの歩兵が中心となり戦車は火力支援とそれぞれの運用方法が異なっていると云われている(Forbes 9/23。

この情勢におい米国CNBCは西側軍事専門家の意見として、ウクライナの反転攻勢は、このまま終わるのか、泥濘期まで3カ月しかない、兵力が足りない、厚い防衛線に向かいあっている等の悲観論も出始めていると伝えた(HAKGOREH7/24 読売8/13)。

 一方、反転攻勢はこれから本格化するとの見解もあり(NHKNEWS WEB 7/9)、数週間のうちに、ウクライナ軍は12個旅団を投入する計画で、戦闘に参加しているのは3旅団、9個旅団は温存され余裕があり(BBニュース7/19)、来年冬には終結しているとの観測も米軍関係者からもたらされる等の悲観論・楽観論が交錯した。

 ゼレンスキー大統領は、反転攻勢の速度を上げるため、最新鋭の戦闘機(F16)、長距離ミサルの軍事支援を求めた。尚、7月24日の時点でウクライナはロシア支配地域の61%を奪還していると米国国務省は伝えた(読売7/26)

 7月26日、ウクライナ軍は、南部サボリージャ州の要衝トクマクへ南進する数千人規模の機甲化された部隊を投入した。トクマクはメルトーポリ進出の正面入口にあたる要衝である。また、南東部戦線においても新たな部隊を投入したとも伝えられ(CNN7/27)、全線にわたりロシア軍を圧迫し、突破口形成に努力した。

 しかし、8月3日ゼレンスキー大統領は、東部ドネック州のバフムトや南部の戦線の大規模の反転攻勢がロシア側の強固な防御陣地を切り崩すのに苦戦していると率直に述べていた。

 従来、ウクライナ軍は、、ウクライナ軍は三つの戦線に戦力を分散させていたが、アメリカ側は、兵力を一つの戦線に集中するよう勧告をしていた。また、南部正面に戦力を集中し、アゾフ海沿岸の要衝メリトポリの奪還を急げとの主張であった。ウクライナ側は、戦力集中案を受け入れた。

 更に攻撃要領についても、前述のようにウクライナ軍は、地雷原による強固なロシア軍陣地に対し、比較的小中規模の部隊で損害を避ける慎重な戦法をとっていた。これに対しアメリカ側は歩兵、戦車、空軍等の諸兵科を統合する大規模部隊の作戦を一挙に遂行することを望んだという。しかし、ウクライナ側は大規模作戦は、仮に失敗すれば全てが終わり、一挙の強行作戦は損害がおおきい。まして空軍なしの作戦ではと?。また、バムフトの奪還も延期出来ないと主張したらしい。

 最終的に協議の結果、攻撃要領についてはウクライナ側はアメリカの提案を拒否し、アメリカ側はしぶしぶとウクライナ側の主張を認めたと云われる(吉田成之9/5)。この協議の結果、サポリジャ戦線に戦力集中する戦略に切り替えられ、8月11日以降メリトポリに向け4コ旅団及び2コ空挺旅団を投入し、同州西部のロボテイネ(オリヒフの南10km地)の郊外に進出し、特に対砲兵戦の優越、夜間攻撃等により最も強固なロシア軍の第1線陣地の一部を突破した(FORBES 8/24、CNN 8/28)。このロボテイネの戦闘で伝えられた戦況は、反攻作戦で久々のウクライナ軍の明るいニュースであつた。

 個々の戦闘で、ウクライナ軍がロシア軍より優位にある兵器と運用術(AI bard)。兵器、①砲兵ミサイル 、②レオパルド戦車、③対空兵器、④ドローンの破壊殺傷力。運用術、①戦車等の夜間戦闘能力 ②ドローンによる敵位置等の情報収集能力

 ロボティネの戦闘の詳細は不明であるが、ウクライナ軍は、夜間を利用し地雷原を機械力又は人力で対人・対車両用通路を開け、ついで歩兵戦闘車で塹壕に近接し飛び込み、主に歩兵の小火器・手りゅう弾で戦うとともに(Forbes com 9/2)、戦車・歩兵戦闘車の火力及び砲迫の火力で前面側方・後方のロシア軍を制圧撃破し、その後戦果を塹壕の弱点方向(塹壕に沿う側側面)に戦果を拡張したと想像する(日経8/5)。この際、特に歩兵戦闘車(機動力・小火器防護力等)が活躍したと見られる(AI bard、陸自・米軍方式と同じ)。

 8月28日ロボテイネ(トクマクへ25km)を完全に奪還し、初めてロシア軍の防衛線打開の兆しが出てきた(ANN 9/1)。この戦力集中方式の切り替えが成功要因と伝えられ(読売 8/29)、更にウクライナ軍は歩兵中心の小部隊方式で陣地を崩し、ロボテイネのロシア軍を南北からはさみ撃ち(生きた戦術)にしたらしい(日経 8/5、AI bard)。

 これで、ウクライナ軍は、第2線への突破に足がかりを得たと判断できる。この第2線陣地以降は地雷原も少なく強固ではないと楽観(読売 9/5、日経 9/4)していたが、一方ロシア軍は懸命に新たに塹壕等の陣地を強化をしていると伝えられた(読売9/14)。

 9月22日、南部戦線指揮官のタルナフスキー将軍は、一部の部隊が第2線を突破したことを明らかにしたが、大きな突破口の形成はトクマクを確保した時点でと述べた。

 一方、CNNは、トクマクへ20km地点にあるロシア軍陣地の突破に苦戦していると報じた(CNN 9/23)。小部隊のウクライナ軍がロシア軍の防衛線を突破したものの主力は依然第3線の突破に手こずっていると予想される。9月22日、南東部のロシア軍第3防衛線をウクライナ軍の装甲車が突破したが、規模が小さく多くの死傷者が出ていいると報じられた(Thewallstreetjournal 9/22、読売 9/24)。

 この正面では、歩兵が歩兵戦闘車とトラックで先陣をきり、戦車は後方から火力支援の攻撃方法を採用してるが(Forbes 9/23 )、最近になって車両の通過も可能になった。激しいロシア軍の抵抗で、軍の前進はゆっくりしたものであつた(読売9/25)。

 巾10km位の突破口を進撃するウクライナ軍の先端部隊は、三方はロシア軍に囲まれ、側方或いは後方からのロシア軍の逆襲等の脅威の中での一路南方に向かう前進であった。これまでの戦闘において、ロシア軍の大規模の逆襲は伝えられていない。

  ウクライナ軍の反転攻勢における全前線のなかで、唯一の突破正面の戦況について、ウクライナ軍は第3線を突破したが、歩兵が突破したのにすぎず、戦闘車両は最初の防衛線の地雷原で動きがとれず、ロシア軍のドローンでやられている。このため、ウクライナ軍は30人程度の部隊を編成して突破をするが、その歩兵がやられると次の歩兵を送りこむという戦い方(一種の車がかりの戦法)をしていたため、歩兵の損害が多発する状況と伝えられた(Moneyvoice 9/30)。また、ロボティネ付近で予備の大隊クラス(約1000名)のロシア軍が失った陣地の一部を奪回したが、ウクライナ軍が取り戻す等の一進一退の戦闘が続いていると伝えられた(NHK 10/2 KYODO 10/3)。

 また、ウクライナ軍の前進は100~600m/日であった(ロイター 10/5) 。ロボティネから南方に向かう経路には新たな陣地が構築され、近傍のオリヒウには地下2層の陣地、コンクリート製の塹壕が発見され(読売 10/7)、戦況は部分的に成功していたが、8月以降はほとんど前進がなく(読売11/4)、更にトクマク方面への前進も膠着していた(産経10/26)。このように、ウクライナ軍が重視する南部サボリージャ州一帯の反転攻勢はロシア軍の、①新たな防衛線、②人海戦術に手を焼くとともに(読売11/4)、その兵力不足、特に反攻開始にあたり指摘されていた弾薬不足(WSJ 7/7)等のため自然に攻撃衝力を失い戦車や歩兵部隊の前進が停滞したと予想出来る。しかし、後方のロシア軍の重要施設には打撃を与え、反撃能力の低下を図ってい.る(読売 11/1)。

 10月10日、東南部のドネッツ州のバムフト南方50kmの平坦開豁地のアウディーイウカに、3個大隊(約2000人)のロシア軍の攻撃が開始されたがウクライナ軍は全て撃退したと主張した。ウクライナ軍は、工場を要塞化して立て籠っているという。

ロシア軍はウクライナ軍のドローン攻撃及び地雷源により戦車34両を一挙に失う等(Forbes 10/13、読売10/24)、10月以降では総計200両の装甲車を失う甚大な損害を出した(乗り物ニュース 11/7)。更に死傷者も5000人と伝えられた(意読売 10/28)。しかも、ロシア軍は囚人も動員して兵力を増加して、急に歩兵主体の戦闘に切り替え、アウディーイウカ周辺に約4万人を配置して損害を厭わない攻撃を強行した。ロシア軍の装甲車両等の損害は、ウクライナ軍の14倍に達した。(Forbes 11/14 )

 この戦況に対し、ウクライナ軍は南部戦線ロボテイネ正面の作戦に従事していたNATO式装備の1箇旅団を約150km先の激戦地アウディーイウカに急遽投入した(Forbes 11/4)。応急処置なのか、又は反撃を企図しているのかも知れない。

 米政策研究機関ISWは、記録的な損害にも拘わらずロシア軍が歩兵主導の地上攻撃を再び仕掛ける準備をしているとの東部攻勢の継続を指摘していたが(読売11/3)、ロシア軍の攻勢は東部ドネック州のアウディーイウカでの激戦が続いた。ロシア軍の損害は1100人/日、戦車7台、装甲車32台を撃破し撃退したとウクライナ軍は発表した(産経11/7)。英国国防省は16日ウクライナ守備拠点があるコークス工場に南北からロシア軍が進撃していると伝えられた。もし、制圧されれば、同地のウクライナ軍の補給線が断たれる恐れがある。ロシア軍が攻勢を強めていることがあらためて示された(読売 11/18)。これからの泥濘期等の過酷な消耗戦が展開されると予感される。

10月下旬の東南部ドネッツ州バムフト南方50kmのアウディーイウカの戦況要図

中口論文図550.jpg

 ロシア軍がアウディーイウカに執着する理由は、政治的にはドネック州の完全領有化を宣言したためであり、戦術的には。①南部戦線のロボティネの圧力の軽減、反転  攻勢の阻止(時事通信10/1、10/13)、②ロボティネへの反撃:経路上のウクライナ軍の排除、③アウディーイウカを領有すれば、バムフトとともに、来春のロシア軍の陣外からの大規模包囲を可能にする支とう点を確保できる等が考えられるが、恐らく泥濘期前に陣内の癌を取り除き、時間稼ぎのロシア軍の勝ち目の消耗戦を強要することが主眼であろう。

 ウクライナ軍にとっては、①この地域を守り抜くことが国民の士気を高める、②反攻作戦のゲリラ戦等の反撃拠点となる、③多くのロシア軍を抑留できる等の利点があるものの、戦略的には攻勢の主軸からそれた防勢作戦として、消耗戦を避けたいのが本音と考える。

 しかしながら、ロシア軍は、現時点で最大限の歩兵中心の兵力をもつて大規模の攻勢作戦に転移してきている。航空劣勢下であるが、このロシア軍を攻勢により徹底的に撃破すれば、膠着した戦線を打破してロシア軍の撃擾を図る絶好のチャンスが生れる。今が戦機であるとの考え方と、予定通り現在の作戦方針等のもとに確実に作戦目的を達成すべきとの考えかたがあり、どのように対応するかは各論に分かれる所である。(AI bardのこの判断については割愛する。)

  主作戦軸のウクライナ軍にとつて、ロボティネからの進撃は泥濘と地雷源等のため停滞し膠着化すると予想出来る。更に、泥濘冬期の戦闘は、ドローン等の火力打撃戦による消耗戦及びロシア軍の兵站活動への阻止作戦が展開されるため、ウクライナ軍の進撃は一段と遅延し、両軍が対峙する戦況になるものと推測する。

 これら戦況から、ウクライナ軍は、アゾフ海沿岸までの進撃距離の10%しか前進していないと評価され(BBC 9/18)、また、ミリー統合参謀本部議長も20万~30万のロシア兵を追い出すのはウクライナ軍にとって難しい仕事と述べ、今後も困難が続くとの認識をしめした(KYODO 9/20) 。

 ウクライナ軍とロシア軍の戦闘も、10月下旬~11月上旬の泥濘期ついで冬季の厳寒期を迎えると、両軍の作戦行動は自然に不活発となり停滞する。恐らく現接触線で対峙することになると思われるが、ウクライナ軍が唯一突破に成功しているロボティネのウクライナ軍に対して、今後ロシア軍からの火力打撃が昼夜指向されて損害が多発すると予想され、ウクライナ軍があくまで固守するかどうかは不明であり、最悪の場合は撤退すると予想する。

() 東南部ドネッツ州正面

 バムフト正面に進出し作戦の指導中シルスキー将軍は、バムフト奪還を確信していると語ったと伝えられ、ウクライナ報道官もバムフトで主導権を確保してロシア軍を押し戻していると戦果を強調した(テレ朝ニュース7/9)。

 また、英国防省はロシア軍が東部ドネック州の要衝バフムトで兵力が不足しているとの分析をだしたが、ロシア軍は計10万の兵力を集中し大規模攻撃を準備している可能性があるとも報じた(共同7/18)。シルスキー将軍も、ロシア本土から師団、旅団規模の投入を指摘した(ロイター 8/25)

 イギリス国防省もロシア軍は今後2ヵ月以内に東部ドネック州リマンからハリコフ州クピヤンスクにかけて作戦を強化する可能性があると警告していた(共同 8/26) ベラルーシに駐留していたロシア軍1万がウクライナ北東部に送られたらしい(CNN 9/9)。また、ハルキウ州のクピャンスクとドネック州のリマン周辺(バムフトの北方)には、約1年前から兵力10万人の部隊が集中していた。、

 このようなロシア軍の動静の中で、ウクライナ軍の海兵旅団の4コ旅団は、徐々に進撃しマリウポリ手前の80kmに達し、ロシア軍第2線陣地の北端に進出した。しかし、歩兵戦闘車と歩兵及び戦車との組み合わせ戦法で攻撃しているが(Forbes 9/23)、依然として確固たる突破口を見いださせずにいると判断されていた(hankyoreh 8/30)。

 しかし、ウクライナ軍の反攻作戦の南部の戦闘であるロボテイネ奪回作戦の成功は、ロシア軍に非常に大きな危機感を与え、メリトポリを死守するため、東部正面で最も精鋭とされる戦略予備の空挺部隊の転用を急いでいると伝えられ(読売 9/6)、失敗なら東部からくずれて大損害といわれる賭けに出たと伝えられた(FORBES 8/28)。

ロシア軍の、ウクライナ軍の主たる攻撃の注意が東南部か南部かと分散し、疑心暗鬼だったと思われる。この後、小刻みに続々と南部へ部隊の転用が行われたらしい(Forbes9/30)

 これらのロシア軍の戦略予備の抽出は、ウクライナ軍の攻勢を勢いづかせた。シルスキー将軍は、ロシア軍の防衛線を突破してバムフト周辺に進出したウクライナ軍は、反撃に出たロシア軍の3コ旅団を戦闘不能に(Forbes 9/18、Fnnプライム 9/19、kyodo9/19、読売 9/21)するとともに、バムフト南方の集落を奪還した。この3コ旅団の戦闘不能の戦果情報は恐らく大本営発表と同じ誇大発表と思われる。その後も、ウクライナ軍の進撃は停滞していたが、KYODO通信は僅かに前進していると伝えた(KYODO 10/3)。

 ロシア軍は北部正面からウクライナ軍の牽制・分散等を狙う作戦を仕掛けて来ると、シルスキー将軍が判断(共同8/26)していた通り、ロシア軍は反撃の攻勢作戦をとってきた。このロシア軍の攻勢企図は、陣地の奪回或いはウクライナ軍の左側背の攻撃を準備しているか不明であつた8/28)。

 特に、ロシア軍、が南部で強力な反撃をうけている中で、500kmも離れたリマン等の北東部地域で兵力を集中等しているのはウクライナ軍の分散を狙った戦術とAP通信は分析したが、これはウクライナ軍への包囲作戦の一環とみるのが順当であろう。

ウクライナ軍がこの地域でのロシア軍の包囲に対する作戦を本格的に検討を始めたと報じた(hankyoreh 9/6)。その一環として、 ゼレンスキー大統領も、東部ハルキウ州のリマン(バムフトの北方)地域からロシア軍が日々攻撃を仕掛け、最も激しい戦闘地域の一つとして視察し(NHK 10/4)し、シルスキー将軍も10月17日、ロシア軍がウクライナ軍の東部防衛線を突破のため準備していると警告していたが、ドネック州のバムフト周辺でロシア軍が大幅に兵力を増強、防衛から攻撃に切り替えて集落の奪還等を図っていると再度指摘していたが(読売 11/1)、ロシア軍は空挺部隊を投入し犠牲を厭わず攻勢に転じている(読売 11/4)。このため、ウクライナ軍は防勢に転移したため進撃が停滞したと思われる。更に、この正面においても泥濘期等には南部サボリージャ州正面と同様に両軍は対峙するであろう。

(3) 南部ヘルソン州正面

   ヘルソンドニエプル河正面においても、8月11日ウクライナ軍が橋頭保を占領確保した。同地守備のロシア軍の脱走が続いたと伝えられていたが(JBPRESS 8/15)、ウクライナ軍のヘルソン市への攻撃は、ロシア軍の地上・航空攻撃の反撃で苦戦した。

8月29日戦力を整え、再度ウクライナ軍は攻勢に出たが、この攻勢は東南部反撃の陽動作戦であったと云われているものの、その後の戦況はロシア軍の第1線の突破は難しいと予想され、現在もヘルソン市の攻略に届いていないらしい(AI bing)。更に、泥濘期等にいたれば、現接触線で対陣することになるであろう。

 その中で、ロシア軍占領地域のドニエプル東岸で、ウクライナ軍の規模の大きい渡河作戦が成功したと報じられた(読売 10/21)。兵力は数千人規模の1箇旅団規模で約4km進撃中と伝えられた(BBC 10/20、読売 10/23)。領土奪還の見方もあるが(読売 10/24)、第4の攻撃軸(産経 11/5)として、特にロボテイネ正面の作戦を容易にし、且つヘルソン方向から包囲を狙う攻勢と考えられる。唯、クリミヤ半島進出への足がかり説もあるが、それは、現在のところ過望と見られる。

 ところが、14日ロイター電はウクライナ政府高官が、あらゆる予想に反し、ウクライナ軍はクリミヤの非武装化に向け一歩一歩進んでいる。距離を70パーセントカバーしていると反転攻勢の進展を述べた。同時に、シルスキー将軍がバムフト正面から甚大な損害を受けたロシア軍が攻勢をとっている等の未確認ニュスを流した(ロイター11/14、読売 11/15)。この情報に対するロシア軍の動きは確認されていない。

 唯、不思議なことにロシア軍は渡河点に対しては激しい砲撃を加えているが、かなり容易に進撃を許していることである。これは、ロシア軍があまりにも広正面に展開していたため反撃に出る余裕がないとの指摘もあった。この間、ロシア軍の撤退情報が伝えられたが、恐らくは戦線の整理収縮を検討していたところが撤退情報になったと思われる。言い逃れのためロシア軍は、誤報として訂正した(ロシア国営メディア11/13)ものと推察する。ロシア軍も戦線の維持に苦労していたが、ロシア軍の後方を遮断したウクライナ軍も劣勢にたたされていた(共同 11/16)。しかし、18日にいたりロシア軍を陣地から駆逐し作戦は成功したと発表した(毎日 11/18)

4..現11月中旬まての作戦全般及びシルスキー将軍の作戦指導等等に関する一考察

(1) 全般

 これまでの一段作戦における全般戦況を要約すると、①東南部ではロシア軍が攻勢を継続してウクライナ軍はやや押され気味、しかしアウディーウカではロシア軍は反撃を試みたが頓挫する。②南部ではウクライナ軍は戦略予備の主力を投入して戦力を集中したためロボティネでの攻勢は若干進展した(読売8/19)が、ロシア軍も反撃している。しかし8月以降の戦況は恐らく攻防の戦力が均衡したためか停滞し、各戦線ほとんど動いていない膠着状況となってきた。

 しかしながら、ウクライ軍主力が南部戦線で更に深入りし攻撃衝力を失えば、ロシア軍はウクライナ軍の左翼(ハリキウ~バムフト北方)等から陣内外からの反撃作戦を誘発する恐れがあり、その兵力は今年度の動員兵力を含めて、約25万の兵力と見積もられる(AI bing)

 このハリキユウ等からの反撃の脅威に対し、シルスキー将軍は、バムフト等正面のロシア軍の攻勢の兆候に対し、脅威となる場所を強化し可能な限り前進するためのあらゆる手段を速やかに講じなければならないと東南部(北東部)の戦力強化を主張していた(WSJ 8/30、渡部悦和)。

これに対し、アメリカ国防省は南部に戦力を集中して一挙にメリトポリを予定通り奪還することをアドバイスしていた。(毎日 8/19)。アメリカを中心とする西側諸国はロシア軍に対してのウクライナ軍の早期局地的勝利をを求めるのに対し、ウクライナ軍のシルスキー将軍は、バムフト等の東南部戦力の強化を主張したのは、ロシア軍の反撃を予想し、逆包囲のチャンスを計算をしているのではとの疑をもたせるものがある。

この戦力集中方式か戦力分散方式等かの選択において、ウクライナ軍は損害の軽減、小部隊の機動力によりロシア軍の弱点攻撃、夜間攻撃、局地的戦力の優勢をはかり、領土の奪還を期す3軸攻撃を採用したが、アメリカは東南部のバムフト等の戦力分散に反対の立場をとったが、結局バムフト正面の攻勢も認め、戦力集中方式、諸兵科連合大規模攻撃方式をとらずに、ウクライナ軍が主張する3軸の小中規模攻撃方式の採用で決着し(WSJ 8/25、8/30)、ウクライナ軍側の作戦が認められた恰好となつた。

 因みに、リデルハートは(英国軍事戦略家、間接アポローチ論)は、敵の防御が強い場合は2軸で攻撃して敵の注意を分散させ、弱い場合は1軸で敵の中枢を突き、予想を裏切る機動と奇襲を推奨している。シルスキー将軍の軍事理論と同一方向にあると推察する。

しかし、今後の絶え間のない西側諸国の軍事支援を期待するためには、ウクライナ軍側としても攻撃の早期進展は望ましく、その進展の遅れが著しいため、遂に戦闘の越年を視野に入れるとウクライナ政府等は戦況の見通しを述べるに至った(読売8/16)

  前述のごとく、反攻開始の4ヵ月で両軍の戦線は膠着し、ウクライナ反攻作戦が長期化するとの予想がより現実化してきた。ロシア軍はウクライナ東部からの攻勢作戦を継続して、ウクライナ軍の南部正面の反攻作戦を牽制、或いは背後からの攻撃を示唆している。

 この膠着した戦況に際し、ウクライナ軍の泥濘期等における当面の方策は、①ひき続きロシア軍の補給路を断つ、②ロシア軍が東南部に戦力を集中している隙に、南部戦線で攻勢を強める③東南部の防御を強化してロシア軍を阻止することが考えられるであろう(AI bard)。

 一方、シルスキー将軍としては、ロシア軍はウクライナの東部で再編成している。敵は兵力と手段を再編成すると同時にロシア連邦領土から新たに編成された旅団と師団を投入していると判断(reuters8/26)しているように、ロシア軍の攻勢再開を予期している。

このタイミングを待っていたシルスキー将軍は、起死回生の反攻作戦によりロシア軍を撃擾する態勢作りを進めるのではないかと考えられる。これから両軍の虚々実々のかけ引きが展開されると推察する。 

 この年末までに、どんな状況になるかの予断はむつかしいが、現在の両軍の戦況等から判断すると一方的な決着は想像困難であろう。ロシア軍の戦意が低く逃亡(反戦意識)が続く場合には軍が崩壊し反攻作戦が決着することは予想されるが、今のところそこまでの兆候はない。督戦等により、ロシア軍が頑強に抵抗する場合、特にウクライナ軍の強固なロシア軍陣地に対する突破作戦は極めて損害も多く、物理的(西側諸国の軍事支援の中断、徴兵の限界と拒否)にも心理的(厭戦・戦争疲れ等)にも戦力不足により、.攻勢が頓挫して戦線が膠着するのではないかとの判断が大方ではなかろうか(The wall.street journal 6/21) 。

 この膠着状況の打開にあたり、両軍の勝ち目(優位性)から検討すると、ウクライナ軍の勝ち目は、航空優勢が期待出来ればロシア軍に勝る超近代兵器と機動戦による突破でロシアを撃破し、後方連絡線の遮断等により弱体化が出来る。もしチャンスがあれば、逆包囲か反撃により一挙にロシア軍を撃擾する構想にあると推察する。一方ロシア軍はの勝ち目は、現在の超強固な防御態勢の保持と大規模の反撃により持ちこたえれは、消耗戦、長期戦の持ち込めることにあろう。

 今後の戦局の命運はどちらが先に攻防の均衡を破るかにより決まると予想出来る。ウクライナ軍がロシア軍の陣地を突破して背後を突くことが出来れは、ウクライナ軍が勝ち目を握ることになり、ロシア軍は陣地でウクライナ軍を阻止し、更に背後を突くウクライナ軍を撃破すれば勝ち目を握れることになる。

 現時点では、奇しくも両軍が勝ち目を追及できる戦場は、戦況及び態勢等から見ると、①ドニエプル河流岸地域、②アウディーウカ戦線地域、③ロボテイネ戦線地域であろう。更に、この他の場所があるのかも知れない。

勝ち目については、前述の他に同盟諸国からの軍事援助、兵器の改良運用の工夫等も勝ち目に影響し、その加減算定の要素となる。

 例えば、ウクライナ軍にとって米国等から来春F-16の供与の確定(ロイター8/22)、或いは西側諸国からの3月までの砲弾100万発供給は困難等の弾薬不足問題(読売10/5、共同通信11/11)、北朝鮮がロシア軍の一ヵ月分の使用量30万発の提供等も勝ち目の計算に入る分野であり、ウクライナ支援疲れが米国議会、西側諸国への広がりが目立ってきたとのニュース(現代ビジネス10/4)、或いは米国のハマス攻撃をするイスラエル軍に対する武器供与(Abema 10/9)、ロシア軍が海外に売却した兵器、部品の返却を求める程の兵器不足問題等(NRI 11/14)も勝ち目の加減に計算すべきであろう。(注)消費量/日・15Hは、ウクライナ軍3000発、ロシア軍6000発(AI bard)

 更に、2023年6月以降から現在までの戦況を概観すれば、ウクライナは西側諸国の支援のもとに、ドニエプル東岸のロシア軍陣地の瓦解と分断を主眼として反攻作戦を展開して、かなりの領地を奪回しロシア軍を撃擾したが、8月以降の反攻速度は急速に遅延している。この遅延は、ウクライナ軍の人的損耗が原因との指摘もある(産経11/5)

 また、ロシア軍は強固の陣地を構築し対抗したが、現在の戦局の焦点であるロボテイネ、アウディーウカ戦線における反撃は、歩兵を中心としていることは戦車等の戦力が枯渇していると判断される。侵攻以来のロシア軍の戦車等の損失は保有数の1/2~1/3と見積もられる。その新規製造能力は年間250台位と見積もられているが、楽観的にみれば、まだ半数の新鋭戦車等を保有していることになる。

 両軍の10月末時点での損害の一例(AI bard、イギリス国防情報局資料 諸説あり) 

           戦車(台)  装甲車(台)  兵力(死傷人)

・ ウクライナ軍    1300    1100    10万

・ ロシア軍       3500     4500     30万

   注1 ロシア軍の現保有数 戦車3000台 装甲車12000台(防衛省11/7),

注2 ウクライナ軍については防衛省の発表なし,

  注3 攻者のウクライナ軍の損害が少ないのは慎重な戦いが原因(Forbes 11/16)

 反攻作戦におけるウクライナ軍の10月中旬までの進撃距離(概観すれば、諸説いろいろとある中で、目安として次のデーターがある(AI bard)

 ・ 東南部正面(ドネッツ州のバムフト等)   約20km/100km 

 ・ 南部正面 (サボリージャ州のトクマク等) 約10km/150km

・ 南部正面 (ヘルソン州のヘルソン等)   約 5km/100km

   注1  上段数字は進撃距離、下段数字は全縦深の概略距離を示す。注2 ロボティネの突破正面巾は約20 km、同縦深は10km

 2023年6月以降からのウクライナ軍の反攻作戦を総括すれば、RUSI(英国王室防衛安全保証研究所)は、反攻作戦からの4ヵ月目は態勢を保持して防衛線の突破を阻止したロシア軍に軍配、ウクライナ軍は装備を失い過ぎたと評価している(News week9/15)。

 今後の泥濘期と冬季の両軍の作戦は、小競り合いが続いき戦況は停滞する。来春からは両軍はそれぞれの作戦目的と構想に基づき再開すると思料する。

 ()シルスキー将軍の作戦指導等に関する考察

   総指揮官としての将軍のタイプを分類すると、智将、勇将、猛将、この他に仁将等の タイプがあると思料されるが、シルスキー将軍は智勇兼備のタイプであろう。

・将軍の部隊指揮運用面から分析すると、分権型の指揮官であろう。各級指揮官に権限を委譲すると自主積極的なモチべーションを生み出し予想外の成果が期待される。 ウクライナ軍が予想以上に敢闘していることはこれが証左と思料する。西側諸国 からの惜しみのない援助は、特にウクライナ軍の勝利への執念と戦闘能力を信頼し ているからと推察する。

戦略等から分析すると柔軟性と一徹性の兼備の指揮官であろう。前述したところであるが、 主要援助国の米国が、戦力集中一軸攻撃を強要したにも拘わらず、多軸攻撃を譲らず、また大部隊一挙突破主義を強要したにもかかわらず損害の軽減を理由に小部隊斬進突破を主張した。しかし、米国の意見も取り入れ、サボリージヤ正面においては戦力集中主義を採用した。この時期、米国側に立つウクライナの政権・ 軍・首脳の多いなかで、公然と米国に反論することは、なかなか柔軟性と信念(政治不関与もふくむ)のある将軍といえる。

シルスキー将軍の戦略上の特質にはハリキウ戦に見られる陽動作戦がある。この反攻作戦においては、①バムフト正面おいては、当初の基礎配置において主たる攻撃軸は東南部と見せかけてロシア軍の兵力を吸引したが、複数の攻勢軸をとり南部正面からも攻撃した、②続いてロボティネの突破正面には東部配置のロシア軍の精鋭空挺部隊を転用させて東南部の作戦の転機を図つた、③東部にあつたウクライナ軍拠点を利用して、ロシア軍の主たる反撃をアウディーウカ正面に誘導して、孤立化していたロボテイネ突破正面へのロシア軍の圧力を軽減する等の随所に声東撃西の陽動作戦を展開してロシア軍を翻弄し、その作戦を受動の地位に貶めて部隊運用を混乱させ、ウクライナ軍の作戦を主動の地位に導いた。これを伏石戦術、隠駒し戦術と呼ぶのかもしれない。

作戦における勝利は戦場での勝ち目(本稿では物理的・精神的戦力優位性と定義)を握り運用することにある。過ってはMAS(物量、兵力・精神力)とした時期もあつた。

 一般的に戦力とは、物理的戦力を兵力・火力・機動打撃力・兵站・装備等とし、その組み合わせが電撃戦であり航空優勢等である。精神的戦力が士気・戦略戦術、情報等であろう。その他戦力発揮の場としての地形が利用されれば、地形も戦力の範疇に入ることになる。

  現代戦においては、特に戦略戦術側面の奇襲が大きく作戦の勝利を支配すると云っても過言ではない。その奇襲について、リデルハートは作戦において敵の予期しない弱点をつく奇襲を推奨し、孫子もまた奇をもって勝つとしている。

  異論と承知するが、ドニエブル東岸作戦におけるウクライナ軍の戦場支配力、即ち勝ち目は航空優勢と近代兵器の火力戦および機動力戦であり、一方ロシア軍は航空優勢と強固な陣地による防御力であり、特にウクライナ軍の弱点を突く消耗戦であり長期戦であろう。

  実はロシア軍の東岸陣地に対するウクライナ軍の攻勢は、その戦場支配権を十二分に発揮できない戦場であり、それを発揮できる戦場は、前述のごとく、①まずロシア軍の陣外であればドニエブル河|流域のサボリージャ正面等、②次いでロシア軍の陣内では、東南部のアウディーウカ等であろう。その他南部にもあるかもしれない。

  来春には、ウクライナ軍は十分といえないまでも、F-16を保有することが予定されている。シルスキー将軍の頭の中には、領土奪還とともにロシア軍主力をドニエプル河|流域等に誘導待ち受けする撃擾大作戦計画が秘かに描かれていると想像したい。反攻作戦が膠着しても、一撃を与え、停戦交渉を有利に展開するシルスキー将軍の智略に富む作戦指導は興味のあるところである。

ウクライナ軍の必死の反攻作戦にも拘わらず、その成果が十分とは云えない戦況であることは、軍及び国民も承知している。しかし、その批判は少なく、いまのところウクライナ軍の団結に大きな変化はないと伝えられていた(AI bard)。

 しかしながら、突然政府と軍の軋轢が伝えられた。現在の戦況認識についてウクライナ軍ザルジニー総司令官の膠着論に対してゼレンスキー大統領はこれを否定し、ロシアとの交渉には反対の態度をとり不協和音が発生しているらしいとの見解が流れた(ロイター11/7)。

 ウクライナ軍首脳は戦況が膠着すれば長期戦となり、国力の違いから敗北に繋がると認識してロシアとの停戦交渉を念頭に置き始めたかなと推察する。一方ゼレンスキー大統領はウクライナ領土の奪還を強く願い、膠着説等は全く受け入れられないとの姿勢が見える。政府内においては、現実に目を向けず、達成出来ない早期の勝利を叫ぶ独裁者との批判もあり、政府と軍、政府内でも不協和音が噴出してきたと予想される(読売11/14)。

 勝利するまで戦うとする国民の戦争継続派は70%、交渉派は26%、全領土の奪還派は91%と高率である(Forbes 10/19)。戦い続けるか、早めの停戦を求めるかの選択は、軍の行動に掛かっている。シルスキー将軍の責任は大きく、戦況は有利でロシア軍を追い出せると確信していると発言して(HK10/17 ,10/13)、国民・軍等の戦意を高揚したが、今のところ具体的に新たなロシア軍撃擾の方策は展開されていない。

おわりに

 今後、ウクライナ軍がNATOの支援を受けて再び反転攻勢を仕掛ける場合は両軍の作戦はメリトポリとバムフト等が戦局の焦点となると予想される。一方ロシア軍も数十万の兵力を再増強して春季攻勢を行う可能性もあり、いずれにしても長期戦となり両軍とも決定的勝利を得ることはないと判断され(AI being)、シルスキー将軍の一発逆転攻勢がない限り、これからの戦況は膠着すると結論するのが正解ではなかろうか。

 AIの予測は、①両軍の戦力拮抗のため膠着する、②西側の援助でウクライナ軍の戦力が強化され、ロシア軍の士気の低下等があれはウクライナ軍反攻の可能性があることに集約される(AI bard)。

 もしウクライナ軍が攻勢の力を失い、攻守が逆転してドニエブル河以西に後退した場合等には、戦後復興等の援助を含めて西側諸国からの軍事援助等は大幅に減少し、最悪の敗戦国としての最も不利な停戦交渉がはじまると予期される(AI bard)

 そこで、2023年7月2日のウクライナ側からの停戦交渉の提議のタイミングを振り返ってみれば、極めて至当なタイミングでの提議と見ることができる。国力の違いをわきまえ(現代ビジネス ウクライナはロシアに勝てるか 西谷公明9/3)、スロバキア等に見られる冷徹な国際政治の動向(産経11/5)を至当に判断し、また深追いをして停戦等のタイミングを誤り、ボロボロになった歴史的事例からの教訓を学べば、如何にコサック国としての独立不羈の崇高な精神、領土では妥協はしない(半農半牧畜の軍事共同体社会の通念)等の理念(東洋経済 9/18 )がウクライナ国民にあるにせよ、僥倖を狙う勝利よりも概ね戦況有利な今が大局的見地に立つ対等の立場の停戦交渉の促進の潮時でなかろうか。

 プーチン大統領も、長期戦を覚悟して戦時国内体制を整備するとともに、20日ウクライナ侵攻に関する中国外相との会談では対話と交渉で解決すると世界に明言した(kyodo 9/27)。更に新たな領土は欲しない(時事 10/6)、EU加盟に反対しない(ロイター 10/6)と発言した。ラブロフ外相も、ウクライナがNATO加盟を断念すれば領土は返すと発言したことは見逃せない(Newsweek 9/27)。返すという領土は、恐らくクリミヤは当然除外されるが、占領中の4州は返還するとの見方もあり(Newsweek 9/27)、ロシア側にも停戦の意思がかなりあると見込まれる。尚、ロシアの世論調査で国民の7割がウクライナ戦争の停止を支持していると伝えらた.(産経 11/2)。

 一方、8月の反攻作戦でウクライナ軍が一定の成果を得たことで、アメリカ等の西側諸国等が、ウクライナに停戦協議を呼びかけたPRESS 9/4、産経11/4)ことは、近い将来その具体案が西側諸国から提議されると予想はされていたところ、11月4日に欧米側から打診された停戦の条件は、ウクライナがロシアに一定の譲歩をする代わりにNATOがウクライナの安全を保証する案が出た(産経 11/5)。これを受けて、ゼレンスキー大統領は年内にも一定の戦果を目指すと反転攻勢が進んでいることを声明した(NHK 11/9)

 恐らく、2023年末の成果が将来のウクライナの今後の帰趨を決めるのではないかとの見方もあり、NATO問題の話合いとこれからの陣取り合戦を含む両軍の攻防の戦況並びに各国の動きに注目すべきであろう。

 本稿は、主として西側メディアの情報を多用している。残念ながら、これらの情報が色眼鏡のないものかどうかの検証はされていない。東洋経済は、この点について厳しい評価を指摘している(東洋経済 11/15)。今後、ウクライナ軍の反攻作戦の真実が探求されるものと期待する。

 最後に理想社会に程遠いこの世界においては、隙のない自己防衛への努力は、まだまだ必要と声高く訴えたい。尚、グーループとしての意見がなかなか纏まらず、無理して集約し脱稿したことをお詫びする。また、現在のAIの有効性、長所と短所を少しは理解出来たと認識する次第である。

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