SNSのもたらす新たな課題
2019.10.29
古賀義亮
6月6日、早朝のNHK の第一放送に何となく耳を傾けていたところ、「社会の見方・私の視点 を聴く」という番組で、北大・法学部の遠藤 乾教授による談話があり、そのようなことが起こりつつあるのかと驚かされた。
記憶に残っている内容をたどりながら要約すると、ヒトの社会現象に関する感性、すなわちパーソナリティのプロファイルが心理学的に百数十種類に分類されるそうで、その分類はこれまた数百種類のキーワードを用いて「イイネ」をもたらすFake Newsから分類できるという研究をもとに、ロバートマーカ(Robert Mercer)という大富豪が10億円にのぼる資金提供によって設立されたイギリスのケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)という企業が活動したとのことである。
つまり百数十種類にわたる社会的な事象に感性を持つヒトに対して共感を引き起こす内容の伝聞を人工頭脳により、あたかもヒトが作成したようにSNSに投稿すると「イイネ」というボタンをクリックすることで、その伝聞が広域にわたり流布する。どうやらその「イイネ」も自動的にクリックする装置があるらしい。このような伝聞をコンピュータの人工知能を利用してつくりあげる企業が、トランプ大統領の選挙活動にかかわっていたらしいとの調査がおこなわれているという。人工知能によりパーソナリティのプロファイルをくすぐるFake News であることなど、これを読んだ本人は気がつかない。ただ伝聞内容に共感を持っただけでの「イイネ」は累積記録することから多数意見となって流布する。
トランプ大統領がSNSを活用していることは衆知であり、「イイネ」も累積していることはうなずける。もしかするとトランプ大統領のインターネット上での発言内容は、前記の企業が背景にあることを今朝のNHKの談話から推量した。
SNSの中で迂闊に「イイネ」をクリックすると、クリックする端末操作のヒトの社会現象の感性は記録に残り、その感性にしたがって政治が進められる社会が現出する可能性は否定できない。
世論の操作をインターネット上で暗黙に行う企業が現出しつつあるという。インターネットが普及する新たな社会問題になること、今朝の談話から得た筆者のパーソナリティのプロファイルであった。(2017.6.6)