お知らせ

ある日の朝

2017.10.30

古賀義亮

 ある朝、目覚めるとまこと静かである。すでに明るくなりつつあり、この時間帯は表通りには自動車がけたたましく走り廻っているはずであるが、それはない。いささかいぶかしく思ってテレビをつけたが、何も反応しない。停電である。どうしてなのか、解らない。

 寝起きには、うがいをする習慣があるから、水道から水をコップに入れようとすると、なんと水が出ない。停電だから仕方がないかと思った。どうやら停電は広域らしい。

 その内に表通りで近所の人達が集まって停電のことで話しをしている。電話も、スマホも通じないし、さらに、おかしなことに自家用車を動かそうとしたがエンジンも始動しないという。私は、とっさに「やったかも知れない」と思った。それは北朝鮮による高々度の核爆発実験かと脳裏を横切ったのである。

 それが事実ならば、いかにすべきか。元自衛官として地域住民のために、貢献すべきと考える。まずは事態として電子機器はすべて損壊している可能性があることを説明し、エネルギとか食料・飲料水等の支給が永らくにわたって滞ることが懸念されることを説明する。さらにはこれらの資源を商店などからの略奪が発生する可能性もあり、警察とか消防も車両運行はできないであろうから自警団を組織することを提言し、相応の能力を持つ人を自警団の長に推挙する。

 地域で防災のために備蓄している食料・飲料水は、各家庭で備えている自前の備蓄状況を勘案して配分する。何とか救援される事態になるまでは、地域と損害の程度によるであろうが数週間は自活し、自衛しなければならないと覚悟する。

以上は、あってはならないが、もしかして発生するかも知れない高々度核実験によるEMPElectro-Magnetic Pulse、直訳すると電磁気パルス)によってもたらされる被害を想定しての、ある朝の状況である。

 EMPについては、在職中に卒業研究で取りあげて調査をし、さらには実験も行ったので、次回からその内容を紹介する。

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