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防衛大・平成25年度卒業式

2017.07.04

  •                                         古賀義亮
  • 2014,3,23

 防衛大の平成25年度の卒業式が平成26年(2014年)3月22日に挙行され、これに出席する機会があった。

 例年のように、防衛大の卒業式は、内閣総理大臣が列席される国家行事である。この卒業式も安倍晋三首相が自衛隊最高指揮官として、翌日の23日にオランダで開催される核安全サミットに出かけるという多忙なスケジュールの前日に列席された。

 国分学校長の式辞の中で、最近タイ王国に訪問された様子を述べられた。タイ王国からの防衛大卒業生はすでに約200名がおり、その有志により同窓会が日本国大使館で催され、その席で国分学校長がある卒業生に「防衛大の留学で、最も印象に残っているのはなんでしたか」と問いかけたそうである。かえってきた返事は「私の生涯の中で、防衛大留学生活を最も誇りとしています」といわれ、国分学校長は、その言葉に感激し、ただ沈黙したと式辞の中で語られた。その国分学校長の沈黙は、この卒業式の式辞で、心の底から届く卒業生へのメッセージとなったのである。

 卒業式に先立って3月15日に行われた同窓会における国分学校長の講演も拝聴した。カンボジアからの防衛大留学生は、欧米諸国に派遣する留学生よりも優秀な学生を選抜して派遣されていると述べられた。

 これらを拝聴し、暇を見て同期生文集用として編纂をしようと鞄の中にしのばせてきた西元徹也兄の「我がカンボジア戦記」と題した寄稿文のことを想い出しつつ、私は、その生涯を国家安寧ばかりではなく世界平和のために捧げ、いまそのことをさりげなく語りかける同期生や、言葉は少ないが国家安寧と発展に黙々と尽くした他の多くの同期生と起居を共にしたことを誇りに思った。企画中の同期生文集は、それらを語る同期生の貴重な資料として後世に残るに違いない、とますます確信を深めた。

 あくまで私の推測であり、確認するすべもないが、西元徹也兄のカンボジアに残した足跡から、防衛大留学生を通じて日本とカンボジアとの人々とによる強い絆となりつつあると想像している。この卒業式でも多くのカンボジア留学生の氏名が披露されていた。

 卒業生として国分学校長から卒業証書を受領するのは本科学生だけではない。研究科の前期過程と後期課程の卒業生もあり、他官庁、民間企業、さらに驚いたことに新聞社からの卒業生もいた。研究科の前期過程は学位授与機構から所定の検定をうけて、修士号を、さらに後期課程の卒業生は、厳しい検定を経て博士号の学位がそれぞれ授与される。すでに検定を受けて学位を取得した卒業生は卒業式において、学位授与機構長から学位記が授与された。世界ひろしといえども大学院に相当する課程を有する士官学校は防衛大以外には存在しない、とかって国分学校長が述べられた記憶がある。

 3月22日は一点の曇りもない、穏やかな春の日であった。同期生が残した記念碑、顕彰碑を拝し、新たなキャンパスの荘厳なたたずまいの一郭にある本館で、偶然ながら帰路にあった安倍晋三総理大臣を見送った。その後、私は正門から京急バスを利用して馬堀海岸駅に向かった。

                                                   

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