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ホーム・カミング・デー(HCD)

第18期ホーム・カミング・デー(HCD)

2017.03.18

 平成12年3月に第6代松本三郎防衛大学校長の発案で卒業式典に第1期生を招待して始まったホーム・カミング・デー(以下、HCDという。)も今年で18回目となり、卒業後43年目にあたる第18期生が平成28年度卒業式典(本科第61期生等)に國分良成防衛大学校長の招待を受けて実施されました。
 18期生HCDの行事は、卒業式前日の3月18日(土)16時30分からの横須賀平安閣でのHCD前夜懇親会で幕を開けました。
 当日は晴天の春の暖かい天候で、開会の1時間前から続々と18期生及びご家族が参集し、開始前からすでに熱気に溢れていました。懇親会は、18期生136名、ご家族60名、総勢196名が集う中、16時30分に國分学校長、武藤副校長、岸川幹事、各部長等9名のご来賓の参加をいただき、司会の笠原久氏の開会の辞で始まりました。開会後、最初に同期生の2名の殉職者及び30名の物故者に対し、「国の鎮め」が流れる中、黙祷が行われた後、HCD実行委員長(18期生会長)の火箱芳文氏から、久々の再会を祝するとともに、本HCDを支援していただいている防衛学教育学群の担当者、2年前から準備をしてもらった準備スタッフ、各係へのお礼や懐かしい学生時代の生活内容を謡った口上などの挨拶がありました。
次に、来賓を代表して國分学校長からは、「18期生の皆さんお帰りなさい!」との歓迎の言葉に引き続き、今年の卒業生(61期生)の状況や防衛大学校は総合力で日本一の大学であり、そして世界一の士官学校を目指しているなどの力強いお言葉があり、最後に「HCDは中間地点でありHCD2にも元気で参加してほしい。今日は外出点検を行った後、特外を認める。明日の朝は帰隊遅延のなきように!」などのユーモア溢れる挨拶がありました。
 宴会の乾杯は、HCD実行委員会海上部会長(次期18期生会長)杉本正彦氏が、今日は昔を懐かしむとともに、最近の防大の状況を大いに語ろうと乾杯の音頭をとり、懇親会が始まりました。懇親会開始後、ご来賓の同席をいただき各大隊ごとの記念写真撮影を行いましたが、違う大隊に入り込むハプニングなどもあり大いに盛り上がりました。

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(挨拶する火箱18HCD実行委員長)    (祝辞を述べる國分学校長)   (乾杯の挨拶をする杉本海上部会長) 

 会場は1~5大隊の大隊別で配席され、久しぶりの再会で相互に名前と顔を確認しながらの場面も見かけられましたが、久しぶりの再会にみんなが喜び合い、会員同士、奥様同士で会話が弾み、和やかで、大盛況に進みました。國分学校長は、精力的にすべてのテーブルを回られ皆さんと楽しく歓談され、写真撮影にも応じられていました。
 懇親会は、笠原久氏の明るく元気な司会で盛り上がり、学校長をはじめとした来賓を含めた全員による肩を組んでの逍遥歌斉唱へと移行し、最後に、HCD実行委員会航空部会長の外薗健一朗氏の防大の発展と同期生の長い絆を祈念しての万歳三唱の音頭で懇親会はお開きとなりました。

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 (各大隊ごとの記念写真撮影)       (歓談の状況)           (歓談の状況)

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    (逍遙歌斉唱)             (逍遙歌斉唱)      (万歳三唱の音頭:外薗航空部会長)

 卒業式当日も晴天の春の暖かい天候で、朝8時過ぎから続々と集合場所である防衛学館の教場に到着し、8時50分には18期生129名、ご家族106名、総勢235名が陸・海・空に分かれてそれぞれの控室に集合を完了しました。行事関連の説明を受けた後に記念写真の撮影場所である時計台横の階段に向かい、國分学校長、渡邉副校長、岸川幹事の参加をいただき、全員で記念写真撮影を実施した後、卒業式会場である記念講堂に向かいました。

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    (正門の状況)            (控室の状況)       (時計台横での記念写真撮影)

 今年も学校側から記念講堂内に140席をいただくとともに、記念講堂に入れない方には、例年記念講堂地下のAV講堂で見学させていただいておりましたが、今年は都合により急遽防衛学館の控室に準備していただいたスクリーンにより卒業式の見学となりました。
 予定どおり10時に安倍内閣総理大臣が臨場され卒業式が始まりました。学校長から留学生を含む401名の本科卒業生及び76名の理工学・総合安全保障研究科卒業生に一人一人卒業証書が授与された後、福田秀樹大学改革支援・学位授与機構長から学位記が授与されました。
 國分良成学校長の式辞においては、昨年に引き続きHCDについて言及され、「防大では、2回のHCDがあり、1回目は卒業43年で卒業式に、2回目は入校60年で入校式にそれぞれお招きしています。本日の卒業式には、昭和49年(1974年)に防大を卒業された第18期の皆さんが多数参列されています。今日の日本の平和と繁栄は、第18期の防大卒業生の皆さんが過酷な条件下で厳しい任務と責任を果たされた賜物であります。崇高な使命を見事に完遂されて、本日無事に帰校された第18期の皆さんに盛大な拍手をお願いいたします。」との言葉に、会場からは盛大な拍手が起こり、その祝福に応え18期生とご家族140名が起立し、敬礼をしました。
 そして、卒業生に対し、「諸君たちは防大で学識ある勇者に成長したはずです。そのプライドを持って、君たちを必要とするこの国と国民、そして世界のために今後とも日夜精励して下さい。」と激励されました。

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  (防大儀仗隊から栄誉礼を受ける安倍総理大臣)        (18期生を紹介する國分学校長)

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       (起立する18期生)              (敬礼をして応える18期生)

 自衛隊最高指揮官である安倍晋三内閣総理大臣は、訓示の中で今回初めて、HCDについて言及され、「行動を起こせば批判が伴う。これは今も昔も変わりません。安保条約を改定した時も、PKO協力法を制定した時も、戦争に巻き込まれるといった無責任な批判がありました。しかし、果敢に行動してきた先人たちのお陰で、私たちは、戦後一貫して平和を享受することができた。そのことは、歴史が証明しています。先ほど國分学校長から御紹介があったように、本日はHCDとして、昭和49年に防衛大学校を卒業したOBの皆さんもお集まりです。皆さんも在職中、心ない多くの批判にさらされてきたかもしれません。そうした批判にも歯を食いしばり、皆さんは、自衛隊の中枢にあって与えられた任務を立派に全うしてこられた。そして、米国や志を共にする民主主義諸国とともに、冷戦を勝利へと導きました。卒業生諸君、そして御列席の皆様。この大きな仕事を成し遂げ、本日、懐かしきこの学びやに戻ってこられたOBの皆さんへの心からの感謝と歓迎の気持ちと敬意を、私からも皆様と共に大きな拍手をもって贈りたいと思います。」と述べられ、安倍内閣総理大臣の拍手に合わせて会場の全員から18期生が再度祝福を受け、一同最大の誇りと感謝で感極まるとともに、感激でHCD最大の盛り上がりとなりました。
 そして、卒業生に対し、「いかなる事態にあっても、国民の命と平和な暮らしは守り抜く。そのために必要な制度をこの4年間で整えました。私たちの子や孫、その先の世代に、平和な日本を引き渡していくための法的な基盤をしっかりと築き上げることができた、と考えています。その新しい土台の上に諸君が、本日、自衛官としての新たな一歩を踏み出します。諸君は、新しい安全保障基盤を実行に移していく、いわば一期生であります。この場所から、新しい歴史をつくりあげるのは、正に諸君であります。諸君の活躍を大いに期待しています。」と述べられ、最後に「この場所から新しい歴史をつくりあげるのは、正に諸君であります。その気概を持って、いかに厳しい現場にあっても、鍛錬を積み重ねてもらいたい。自衛隊の中枢を担うという強い使命感と責任感の下に、いかなる時も、成長への努力を惜しまないでほしいと思います。そして将来、諸君の中から最高指揮官たる内閣総理大臣の片腕となって、その重要な意思決定を支える人材が出てきてくれる日を楽しみにしています。」などと熱く、かつ、力強く訓示されました。
 防衛学館の控室に設置されたスクリーンで卒業式を見学していた18期生からは、国歌斉唱、國分学校長のHCDの言及、安倍内閣総理大臣のHCDの言及・拍手の際には、盛大な拍手が起こり、特に、安倍内閣総理大臣のHCDの言及には、驚きとよくぞ言っていただいたという感謝の雰囲気に包まれました。

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     (訓示を述べる安倍総理大臣)         (控室(防衛学館)のスクリーンでの卒業式見学)

 稲田朋美防衛大臣は訓示において、「涙とともにパンを食べたものでなければ、人生の本当の味は分からない」というドイツの詩人、ゲーテの言葉を引用し、「小原台で時にはつらく涙するほど苦しいことを乗り越えてこの卒業式に臨んでおり、伝統ある防大での教育を修め、卒業した皆さんは自衛隊における人生の本当の味をかみしめるべく、これからさまざまなことを創造し、更に、たくましく成長されると確信しています。」と最初に激励されました。
 その後、「最近の北朝鮮や中国の情勢から、わが国の防衛を担う自衛隊に求められる役割や期待は一層大きくなっており、こうした現実を直視し、自衛隊への期待を受け止め、将来、幹部自衛官となるものとしての自覚を持ち、緊張感を持って任務に邁進してほしいと思います。」と述べられるとともに、「地震、風水害、火山噴火、雪害等において、自衛隊は多岐にわたり災害派遣活動をしていますが、こうした活動は、必ずしも華々しいものではありませんが、その活動の1つ1つが国民の安全な生活につながっていることは疑いようがなく、そうした活動により、先輩たちが築き上げた自衛隊に対する国民の信頼と、それに伴う伝統という財産を余すことなく受け継ぎ、創造の精神を持って、より一層発展させてくれることと期待をしています。」などと激励されました。
 安倍内閣総理大臣、稲田防衛大臣の訓示は、自衛隊に対する労いや感謝や敬意に満ち溢れ、卒業生に対する大いなる思いと期待が込められたものと深い感銘を受けました。
 来賓祝辞は、向井千秋東京理科大学副学長・宇宙飛行士が述べられました。向井副学長の自らの医師と宇宙飛行士の経験から、「人生においては悩むことがあるが、悩むことすら許されずに亡くなる方がいる。そういった亡くなられた方のためにも、能力を向上させて、しっかり準備をして仕事に臨んでほしい。」や「任務を達成させたいという共通の目標を持つことや特性が違う人間が集まることにより力を発揮し仕事がうまく行く。また、立ち位置をより高所大所から見ると仕事がうまく行く。」などの餞の言葉を贈られ、最後に「任務や仕事を通じて成長されることをお祈りします。」と激励されました。
 卒業証書授与、学校長式辞、内閣総理大臣訓示、防衛大臣訓示、来賓祝辞に引き続き、11時45分から、4年間を振り返っての卒業生代表の答辞、防大生として歌う最後の「学生歌」を斉唱し、卒業式は終了しました。
 卒業生解散のアナウンスの後、昨年に引き続き壇上から安倍内閣総理大臣が見守る中、卒業生代表の「61期解散」の指示により、卒業生が一斉に帽子を投げて駆け足で会場から退席する卒業式恒例行事の「帽子投げ」が行われました。この際、会場は一瞬騒然となりましたが、卒業する元気で立派な若者を微笑ましく、晴れやかな気持ちで見送り、会場は清々しい雰囲気に包まれていました。

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  (訓示を述べる稲田防衛大臣)  (祝辞を述べる向井東京理科大学副学長)   (学生による帽子投げ)

 その後、陸・海・空それぞれの幹部候補生の真新しい制服に着替えた卒業生が整列して待機する中、安倍内閣総理大臣が臨場し、12時30分に一般幹部候補生の任命宣誓式が開始されました。まず、陸上・海上・航空幕僚長が各要員ごとに一般幹部候補生に任命しました。その後、陸・海・空幹部候補生全員で宣誓を行い、各代表が安倍内閣総理大臣に宣誓書を手渡し、握手を交わしました。18期生からは、「我々のころは任命宣誓式を観閲式の会場(陸上競技場)でやった」と回顧する声も聞かれました。

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(陸曹長に任命する岡部陸上幕僚長)(海曹長に任命する村川海上幕僚長) (空曹長に任命する杉山航空幕僚長)

 なお、卒業式終了後から任命宣誓式の開始までの間に、記念講堂横の顕彰碑において18期生代表による顕彰碑献花式が行われました。18期生は、故山川渡氏(防大1学年)、故北林正人氏(2等海尉)の2名の殉職者があり、HCD行事に参加した中から約80名が献花式に参列し厳粛に式が行われました。最後に全員が2名の殉職者と同期生30名の物故者のご冥福を祈り、式は終了しました。

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    (宣誓書を受領する安倍総理大臣)              (顕彰碑献花式)

 任命宣誓式終了後、陸上競技場において3学年以下の在校生による観閲式が行われました。観閲式には陸・海・空自衛隊の防大を卒業した先輩が操縦する6機種18機の航空機による観閲飛行も行われ、観閲式に花を添えました。18期生は競技場の一角に設けられたHCD席で観閲行進、観閲飛行を見学し、整斉とした学生の姿に当時の自分を重ねるとともに、惜しみない拍手を送っていました。
 観閲式見学をもって18期生HCDの全体行事は終了し、この後、希望者は二つのグループに分かれ第1大隊と第2大隊の学生舎を見学しました。各学生舎では、指導官及び3学年・2学年の学生がグループごとに研修を担当して、18期生やご家族からの質問にも親切に答えてくれていました。現在の学生舎は18期生が在学した当時と同じ各学年混在の8人部屋に戻っていますが、女子学生や多くの留学生の存在など状況はずいぶん異なり、また住環境は当時と比べ格段に良くなっており、時代の流れを実感しているようでした。
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      (観閲式場のHCD席の状況)               (整列する学生隊)

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      (巡閲する稲田防衛大臣)          (巡閲から戻る稲田防衛大臣に声援を送る18期生)

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    (行進する学生に声援を送る18期生)        (佐藤参議院議員(27期生)との記念撮影)

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  (解散を宣言する火箱18HCD実行委員長)             (自習室の見学)
 最後に、18期生HCDの実施に向け、2年前から準備を進められた18期生実行委員の皆様の活動に対して心からの慰労と感謝を申し上げますとともに、HCDの準備から実施に至るまで親身にご支援いただきました防衛学教育学群長をはじめとする防衛大学校職員の皆様に心から感謝を申し上げます。
                           (同窓会本部事務局事業部HCD担当記)

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