第17期ホーム・カミング・デー(HCD)
2016.03.20
平成12年3月の卒業式典に第1期生を招待して始まったホーム・カミング・デー(以下HCDという。)も今年で17回目となり、卒業後43年目にあたる第17期生が平成27年度卒業式典(本科第60期学生等)に國分良成防衛大学校長からご招待をいただいて実施されました。
17HCDの行事は、卒業式前日の3月20日(日)16時30分からの横須賀平安閣での懇親会で幕を開けました。
当日は曇天で少し肌寒い天候でしたが、懇親会場の横須賀平安閣には開会の1時間前から続々と同期生及びご家族が参集され、受付からすでに熱気に溢れていました。懇親会は、第17期生192名、ご家族92名、総勢284名が集う中、16時30分に國分防衛大学校長、渡邉、中村両副校長、小林幹事の4役や部長等ご来賓が到着され、司会の宇山佳男氏の開会の辞で始まりました。開会後、最初に同期生の5名の殉職者及び30名の物故者に対する黙祷が行われた後、HCD実行委員長(17期生会長)の廣瀬誠氏が登壇して、久々の再会を祝するとともに、2年前から本HCDを支援していただいている防衛学教育学群の担当者、1年前から準備をしてもらった準備スタッフの皆さん、各係をやっていただいた会員へのお礼と、今後は17期生会長を赤星慶治氏へ申し送ることを挨拶の中で述べました。次に、来賓を代表して國分学校長からは17期生に対して『卒業期が20期に相当する私としては、1年生が4年生を前にしていることになり、大変な場所に来た感じです。』とのユーモアあふれる前置きから始まり、今年の卒業生(60期生)の状況、防大が発展していること、HCDへの思い、多くの同期生の方が集ったこと、また懇親会への招待に対する謝意を述べられました。
宴会の乾杯は、同期生会副会長(空)の永田久雄氏が、國分学校長以下現在の学校職員の皆さんが真摯に防大改革に取り組んでおられることを紹介した後、乾杯の音頭を取り、懇親会が始まりました。
会場は1~5大隊の大隊別で配席され、久しぶりの再会で相互に名前と顔を確認しながらの場面も多く見かけられましたが、会員同士、奥様同士でいたるところで話が弾み盛況に進みました。國分学校長は、精力的にすべてのテーブルをお廻りになられ"4学年"(17期生)と楽しくお話をされていました。会は、宇山佳男氏のウイットに富んだ司会で盛り上がり、各大隊での記念撮影、学校長をはじめとした来賓と肩を組んでの逍遥歌斉唱と進み、最後の乾杯かと思いきや、再度学校長が登壇され「本日の外出を許可する!」と宣言があり、会場からは「特外もよろしく」の声に会場は再び大きく盛り上がりました。
最後に、17期生会の終身会長に指名された赤星慶治氏が『13年後の入校式に行われる「HCD-2」に元気に集まろう!』との言葉とともに、全員での万歳三唱で懇親会はお開きとなりました。
卒業式当日の21日(月)も薄雲が広がる肌寒い天候でしたが、朝8時過ぎから続々と集合場所である防衛学館の教場に到着し、8時50分には第17期生180名ご家族等120名、総勢300名が陸・海・空に分かれてそれぞれの控室に集合完了しました。行事関連の説明を受けた後に写真撮影の場所である時計台横の階段に向かい、総員で写真撮影を実施した後、卒業式会場である記念講堂に向かいました。
今年も防衛大学校から記念講堂内に140席をいただき、その他の方は別に用意された記念講堂地下のAV講堂で大スクリーンを通して卒業式等の様子を見学しました。
予定どおり10時に安倍内閣総理大臣が臨場され卒業式が始まりました。学校長から留学生を含む392人の本科卒業生と理工学・安全保障研究科卒業生に一人一人卒業証書を授与された後、野上智行大学評価・学位授与機構長から学位記が授与されました。
学校長式辞では昨年に引き続きHCDに言及され、『本日の卒業式には、昭和48年(1973年)に防大を卒業された第17期生の皆さんが、43年ぶりにHCDで参列されています。ここに集われた防大卒業生の皆さんは、危機と隣り合わせのぎりぎりの場で、国の平和を守るという職務を全うされ、今日までの日本の安寧を支えてきました。今日の日本の平和と繁栄は、第17期生の皆さんをはじめとした自衛隊の隊員が、日常生活からは見えない場で、地道にかつ誠実に任務を遂行された賜物であります。ミッションを無事コンプリートされて、今日この小原台に凱旋された第17期生の皆さんに盛大な拍手をお願いします。第17期生の皆さん、お帰りなさい!』との言葉に、別室のAV講堂のモニターで拝聴していた17期生の皆さんからは拍手が起こり、出席者の感慨も一入のようでした。そして、『防大の役割は他の学校に代替してもらうことはできず、20年、30年後の日本の安全と平和は、本日この地を羽ばたいていく卒業生諸君の双肩にかかっています。』と述べられ、卒業生に対し以下3つの言葉を贈られました。『防大ブライドを忘れるな』『防大で培った友情と絆を忘れるな』『スケールの大きな自衛官になれ』
自衛隊最高指揮官である安倍晋三内閣総理大臣は、以下の要旨の訓示を述べられました。
「北朝鮮の核、弾道ミサイルや繰り返される南西方面の領空への接近や領海への侵入、スクランブルが昨年に比し7倍に増加、テロの脅威が広がっており、卒業生諸君がこれから向き合うのは、まさにこうした『現実』である。いかなる状況にあっても、国民の命と平和な暮らしは断固として守り抜く。これは私たち政府にとって最も重い責任であります。その責任を全うし、子や孫の世代に平和な日本を引き渡すため、強固な基盤を築く。そのことを考え抜いた末の結論が『平和安全法制』であります。『事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に応える』この宣誓の重さを、私は最高指揮官として常に心に刻んでいます。」
「自衛隊員に与えられる任務は、これまでと同様、危険を伴うものであるが、全ては国民のリスクを下げるためもので、その任務は誠に崇高なものである。この困難な任務に就く道へと自らの意志で進んでくれた卒業生諸君は私の誇りであり、日本の誇りである。」
そして最後に、「昨年の関東・東北豪雨で被災した少年からのお礼の手紙」、「国際貢献活動での多くの国の人々からの自衛隊への感謝」を紹介され、卒業生には「誇りを胸に、自信を持って、新しい任務に取り組んでほしい。」と励まされ、これから「現場」に踏み出す卒業生に、「将来、諸君の中から最高指揮官たる内閣総理大臣の片腕となって、その重要な意思決定を支える人材が出てきてくれることを切に願う」と述べられ、「百錬成鋼(ひゃくれん・せいこう)」という言葉を贈られました。
防大24期卒業生でもある中谷元防衛大臣からは、「朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり。」という孔子の言葉を引用しつつ、卒業生に対して「防大教育の3本柱である『学生舎』『勉学』『校友会活動(実働の訓練)』で大切なことをここ防大において身に着けた」と、自らのラグビー部での経験をもとに最初に話されました。その後、「北朝鮮、中国、ISIL等の脅威の中で、『平和安全法制』が、日本の平和を維持し、戦争を抑止するものであり、自衛隊の存在は、将来起こりうる脅威に平素から備えを行うためである。隊員一人一人が使命感と誇りを持って取り組んでほしい」と要望されました。最後に、卒業生に対して「体で悟った真理こそ、我がものなり。」という言葉で卒業生を激励されました。
安倍内閣総理大臣、中谷防衛大臣の訓示は、防大卒業生に対する大いなる思いと期待が込められたものと深い感銘を受けました。
来賓祝辞は、國分学校長と同窓である清家篤慶応義塾大学塾長が述べられました。先生の専門である労働経済学の視点から幹部自衛官という仕事の特性を考えると、「幹部自衛官は『買うことのできない人材である』つまり、高度な軍事組織の幹部は『外から買うことができない人材』であり、軍学校や大学から初級幹部として入隊し、その中で教育を受け、育てられた者によって占められています。高度な近代軍事組織の指揮、運用といった仕事は、その組織の外にその能力を持った人材を求めることができない。そのような皆さんの卒業式であるからこそ、最高指揮官であり国民の代表でもある内閣総理大臣が出席されるのです」と述べられ、崇高な職務に就こうとする卒業生に感謝をこめて激励をして頂きました。
卒業証書授与、学校長式辞、総理大臣訓示、防衛大臣訓示、来賓祝辞にひきつづき、11時45分頃から、4年間を振り返っての卒業生の答辞、防大生として歌う最後の「学生歌」を斉唱し、卒業式終了のアナウンスで卒業式は終了しました。
卒業生解散のアナウンスで卒業生代表の指示の後、壇上から安倍内閣総理大臣が見守る中、卒業生が一斉に帽子を投げて駆け足で会場から退席する卒業式の恒例行事「帽子投げ」が行われました。その後、陸・海・空それぞれの一般幹部候補生の制服に着替えた卒業生が整列して待機する中、12時30分に内閣総理大臣登壇、幹部候補生の任命・宣誓式が開始されました。陸、海、空幕僚長の順で要員ごと一般幹部候補生に命ぜられました。その後、陸・海・空候補生全員で宣誓を行い、各代表が安倍内閣総理大臣に宣誓書を手渡し、握手を交わしました。17期生からは、「我々のころは任命宣誓式を観閲式の会場(陸上競技場)でやった」と回顧する声も聞かれました。
なお、卒業式終了後から任命・宣誓式開始までの間に、記念講堂横の顕彰碑において17期生代表者による顕彰碑献花式が行われました。17期生は(陸)故東信二氏、益本克己氏、(海)故出来逸雄氏、(空)故横尾昇氏、緒方和敏氏の5名の殉職者があり、HCD行事に参加した中から約100名に及ぶ同期生とその家族の方々が式に献花式に参列するなかで厳粛に式が行われました。最後に全員が殉職者と同期の物故者の冥福を祈り式は終了しました。
任命・宣誓式終了後は陸上競技場において3学年以下の在校生による観閲式が行われました。17期生は競技場の一角に設けられたHCD席で観閲行進を見学し、整斉とした姿に往時の自分を重ねるとともに惜しみない拍手を送っていました。
観閲式見学をもって17期生のHCD全体行事は終了し、この後希望者は二つのグループに分かれ第1大隊と第2大隊の学生舎の見学を実施しました。各学生舎では、指導官と3学年と2学年の学生がグループごと研修を担当して、17期生や奥様方からの質問にも親切に答えてくれていました。現在の学生舎は17期生が在学した当時と同じ各学年混在の8人部屋に戻っていますが、女子学生や多くの留学生の存在など状況はずいぶん異なり、また住環境は当時と比べ格段に良くなっており、時代の流れを実感されているようでした。
最後に、17期生HCDの実施に向け、3年前から準備を進められた17期生実行委員の皆様の活動に対して心からの慰労と感謝を申上げますとともに、HCDの準備から実施に至るまで親身にご支援いただきました防衛学教育学群長をはじめとする防衛大学校職員の皆様に心から感謝申し上げます。
(同窓会本部事業部HCD担当記)